ファンタジーと聞くと、子ども向けの印象を持つ人は多いだろうが、傑作ファンタジーは、人生を積んだ大人をこそ感動させる。これは、その好例を示す一本である。11歳の少年ジェスは、家では孤独を感じ、学校ではイジメを受ける日々。しかし隣りに引っ越してきた少女、レスリーによって彼の毎日は少しずつ明るさを取り戻す。ふたりは森で見つけた小屋で、空想の王国「テラビシア」を作り上げるのだが…。
テラビシアに住む巨人や不思議な動物が、CGを駆使して映像化される点はファンタジーなのだが、本作の骨子はジェスが立ち向かう日常のドラマだ。レスリーとの出会いがもたらす、クラスメートとの関係の変化や、家族、教師との触れ合いがリアリティたっぷりに描かれる。ジェスとレスリー、そしてジェスの妹を演じる3人の演技は、子役とは思えない自然さで、この点も、かつて子どもだった大人に強くアピール。クライマックスの展開自体は、はっきり言って、ありきたりであるが、ジェスの心の動きを含めて描き方が巧みなので、誰もがうっかり号泣させられるだろう。本当の感動は、このようにもたらされるのだ。涙でにじむラストシーンは、この上ない美しさで光り輝いて見える。(斉藤博昭)
大人向けファンタジーですね。少年の初恋と、心の成長。大人への一歩を踏み出した・・・。
★★★☆☆
学校では同級生のイジメの対象。家庭内では経済的な困窮、姉2人に妹2人と女ばかりに挟まれた長男という立場から孤立感を深める11歳の少年「ジェス」。
そんな彼のクラスに転校してきた一人の少女との交流を通して、少年の日常に光が差し込んでいく。
作家の両親も持つというレスリーは女の子なのにかけっこで男の子たちを負かし、男の子のジェスにも平気で話しかけてくる。
家はお隣さん同士。やがて次第に親しくなっていく2人。
森の中の小川にかかるロープを使って渡れば・・・・そこは空想の王国「テラビシア」。
怪しげなダークマターや、お城や兵士や巨人がそこには存在していた。
それは2人だけの特別な世界。心の目を開くことができれば「新しい世界」が見える。
やがて2人はお互いの存在を「かけがえのないもの」としていく。
けれど・・・そんな幸せは、ジェスがあこがれていた先生から美術館への誘いを受けた日に儚く消えてしまう。
1人残されたレスリーはテラビシアに入ろうとして事故に遭い、死んだ・・・・・。
彼女の死を受け入れられないジェス。
もし、美術館に彼女も一緒に誘っていれば・・・・・。自身を責める。
そんな彼を優しく包んでくれたのは不仲と思い込んでいた父親であり、まだ幼い妹であった。
自分の周囲の人たちの優しさ・温かさを感じる。レスリーと出会わなければ気付くことが出来なかったかもしれない感情だった。
そして、ジェスは切れたロープに替えて、テラビシアへの小川に橋を架ける。
2人だけの秘密の世界に初めて「妹を招き入れる」。
空想の世界でレスリーだけが心を開ける相手だった少年は、ようやく他者を受け入れるための第一歩を踏み出した。
まだ「恋」と呼ぶには早過ぎた感情だったかもしれない。
けれど少年の胸に少女の存在は「生涯最高の友人の一人」としていつまでも残り続けるであろう。
・・・・・。全体的なテーマや雰囲気はいいのですが、盛り上がりといいますか、感情的にこう「グッとくる!」というような場面がないのが残念。観ていて思わず涙がこぼれてしまうような・・・・そんなシーンがないのは非常に惜しいと思うのです。
現実と夢のあいだ
★★★★★
劇場でやってたときに観に行きたかったのですが、都合がつかず、行けませんでした。
そしてDVDでやっと観たのですが、予想どおり素晴らしい出来でした。あまり、甘口の映画ではないというか、現実を見つめたリアルな作品です。だから他の方々がおっしゃるように子供向けではありません。
ここ最近は映画で泣くようなことはなかったのですが、この映画で久しぶりに泣きました。たぶん映画館で観たとしても泣いていたでしょう。自分自身の昔のことを思い出しました。
最近、仕事や勉強に疲れたという方はぜひ見てください。現実は厳しくて心もしぼんでしまいますが、自分の世界を持つことが大切だと教えてくれます。
レスリー役のアナソフィア・ロブが言った「心の目はひらいてね」というセリフが印象的でした。
想像力のチカラ
★★★★★
正直言って、宣伝だけでだいたいのストーリーは想像はつきました。 つい最近、『パンズラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督の想像力の世界に陶酔していたので、 より一層テラビシアに対する期待と不安はありました。 音楽や演出だけで傑作にも駄作にもなるので。 ですが観終わったあと、何とも清々しい気分でいました★+゜ 児童文学の金字塔だとかナルニアのスタッフがどうとかの宣伝文句なんか全く必要のない、純粋に素晴らしい作品です。 児童文学自体、当方には子供の目を通して実は親が読んでいるものだと思ってますので、 子供は純粋に楽しめるし、大人は童心に還れる作品だと思いました★+゜ アナソフィア・ロブや、八年生のイジメッコの女の子がいい味だしてます【o・v・o】 本当に突然ヒロインがいなくなって、それ以降最後まで出てこなくなりますので、主人公のとてつもない空虚感が犇々と伝わってきました。 欲をいえば、主人公が取って付けたように貧乏でいじめられっ子という設定が、そこまでしなくても充分伝わるのでは??と思いました。 あとは理想的な90分前後でまとめたストーリーなのですが、 いつもは90分以上の映画だとキツイ場合も結構あるんですけど、この作品に関しては120分位あっても良かったかなと思います【o・v・o】 もっと主人公とヒロインの想像の世界を眺めていたかったなと思いました★+゜ ストーリーはありきたりといえばそうなのですが、とにかく心地のよい、どこが懐かしい思いにどっぷり浸からせて頂きました。 ナルニアがどうとかのスタッフにありがとう、と言いたいです 笑
心の扉を開く映画でした
★★★★☆
誰しも子供の頃、風に揺れる木々や打ち寄せる波、砂浜の城壁など
幻想の世界を行ったり来たりしていたと思います。
それは実在するのに、いつの間にか大人になるにつれて
そうしたものを否定し、自分の汚れない心の扉を閉ざして
しまったような気がします。
この作品は、そんな心の扉の鍵となる作品だと感じました。
ただ、結末はあまりにも残酷だな。と現実世界の怖さを
感じましたね。
いつまでも、聖域の永遠の世界へと繋がる扉は閉じて
おかないようにしようと思いました。
観てよかった。
★★★★★
ハリーポッターやライラの冒険などのファンタジーとは明らかに違う路線で、期待していなかった分とても満足できる作品でした。
子供よりも大人が観た方がストーリーの”深み”を感じるはず。
ひとつひとつの出来事に対して意味があり、現実と幻想が交錯する流れがとても心地良い世界観を生んでいる作品です。
一度観たら時を置いてもう一度観たくなる、そんな作品でした。