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刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))

価格: ¥693
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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かつて神聖な儀式であった「処刑」は、十二、三世紀を境にして、“名誉をもたない”賤民の仕事に変っていく。職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活においても厳しい差別を受けることになる。その賤視・差別の根源はなにか。都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開の中で、刑罰の変化を追究し、もう一つの中世世界像構築を目指して、庶民生活と意識に肉迫する意欲的試みである。
刑罰とは何ぞや ★★★☆☆
 かつて賤民としてさげすまれ、徹底的に差別されていた刑吏。他の身分のものと結婚はもちろん、酒場での同席さえ「穢れる」とされた彼らが、なぜそんな境遇に落ち込まねばならなかったのか、それにはどんな意味があったのかを考えて行くという内容です。ドイツ史の専門家である著者は、古代ゲルマニアの刑罰観から説き起こして、中世、近世と徐々に、呪術的なものから合理的なものへ、変容していく刑罰に対する形で、刑の執行者が神聖で名誉ある存在から、忌み嫌われるものになるまでを、数々の学者の説を紹介しながら追っています。

 その中で著者は、初期の刑罰は、犯罪によって傷ついた社会秩序を回復するためのもので、個人の行為を罰するものではなかった。社会の中で起こった行為に、全責任を個!人に帰して済ませる、近世の刑罰は不自然な部分があると指摘しています。この見方はとても考えさせられました。犯罪を犯したものは、その行為によって罰せられるという現代の常識が、当たり前の事ではなかった世界があったことを知ることは、少年犯罪や凶悪犯罪の増加で、罰するということについて悩むことの多い今、十分意味がある事だと思います。

 しかし、内容はともかく、本としてはとても読みにくいものがあります。ヨーロッパ史千年を、たった数ページで行ったり来たりすることもあり、一行一行しっかり読まないと、わけが分からなくなってしまうので、さらっと読もうというのには、不向きだと感じました。