その中で著者は、初期の刑罰は、犯罪によって傷ついた社会秩序を回復するためのもので、個人の行為を罰するものではなかった。社会の中で起こった行為に、全責任を個!人に帰して済ませる、近世の刑罰は不自然な部分があると指摘しています。この見方はとても考えさせられました。犯罪を犯したものは、その行為によって罰せられるという現代の常識が、当たり前の事ではなかった世界があったことを知ることは、少年犯罪や凶悪犯罪の増加で、罰するということについて悩むことの多い今、十分意味がある事だと思います。
しかし、内容はともかく、本としてはとても読みにくいものがあります。ヨーロッパ史千年を、たった数ページで行ったり来たりすることもあり、一行一行しっかり読まないと、わけが分からなくなってしまうので、さらっと読もうというのには、不向きだと感じました。