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碁を打つ女

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 早川書房
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国籍の異なる二人の物語を交差させて描く ★☆☆☆☆
中国出身の女性作家,シャン・サがフランス語で綴った、長めの中編小説。
戦時下の中国を舞台に、旧満州の少女と日本人の男の物語を交互に描いている。

瑞々しく情景を喚起させる、簡明な文体にはセンスが感じられる。
囲碁を嗜む少女の人物像にほとんど違和感はないが、日本人の仕官が中国人のようなイメージで映るのがちょっとした難点。

西洋や大陸的な視点から、純な東洋のテイストを楽しみたい読者には合うかもしれない。

※原書は未読
★5つでは足りない!戦時下のラブストーリー ★★★★★
1937年の満州、
日本人侵攻下で碁を介して出会った中国の女の子(わたし)と日本の青年仕官(私)の
出会いから別れまでを描いたラブストーリーです。

戦時下の狂気とその中に居る心の痛みをそれぞれが抱えつつも、
碁盤の前では互いに己を語ることなく、時間も止まり、澄んだ空気が流れているようです。

シャン・サの詩的な描写がなんといっても素晴らしく、
結末は、もうこれ以外考えられない!ほど、物語の完結にふさわしい。

何度も読み返している私の一押しのヤングアダルト作品です。
★5つでは足りない!!
“高校生が選ぶゴンクール賞”を受賞。
フランスの高校生に選出・賞賛された作品です。

シャン・サは、北京大学附属高校の生徒でありながら、
天安門広場の大学生のデモに共鳴し、自らも参加していたそうですが、
1989年6月3日の事件当日、偶然広場にいなかったために惨事を免れたそうです。
翌年の1990年、17歳で単身渡仏。
高校を卒業し、パリ大学で哲学を専攻(20歳)。
大学で1年勉強した後、
画家バルテュスと日本人の妻節子のもとで過ごす機会を得て(22歳)、
その後作家活動に入ります。

本書は2001年(28歳)仏語で描かれた作品の翻訳です。
語数は少なくイメージは豊かに・・・。 ★★★★★
「碁を打つ女」は日本が中国に満州帝国を作ったころのお話。碁が強くて、でも大人の女性になることに恐怖を感じるような年頃の女学生と、「死」に魅入られている日本軍青年将校の碁を通じての物語です。碁は日本の満州支配、少女の気持ちの変化など色々な物事の比喩になっています。物語自体も碁のように少女視点、青年視点と交互に綴られていきます。でも軍同士の対立が激化していくことに…。

この物語はフランスの高校生(リセ)が選ぶコンクールの賞を受賞しています。
一番の魅力は、語彙が簡潔なのにそこから喚起されるイメージが豊富なこと。満州の蒸し暑い大地、木陰を通り抜ける風、草の匂い、ほこりっぽさ…。また女学生の心理描写も秀逸。好きだとか、愛しているとかそんな言葉は一言も出てこないけど、青年たちの間で揺れ動いたり、大人になることに恐怖を感じたり、思春期独特の苛立ちなどを直接的な言葉を用いず、それを取り巻く風景描写などで伝わってくるんです。

腰掛けるとき、帽子の影が私の胸をなでた。(本文より)

この様な言葉で文章を書ける30代が今の日本に何人いるだろう。


シャン・サの背景を知らなかったならば、私はこの文章は日本人の、しかも昭和以前の情緒あふれる時代の男性作家が書いたのかと勘違いしていたかもしれない。日本の文化や日本人の習慣・ものの考え方に対する描写も正確だし、何より文体が明治や大正期の作家によく似ている。

ネットで調べてみたところ、どんぴしゃりで、シャン・サは日本文学に傾倒していたようですね。やはり、この時代の小説に通暁した人だという直感は当たりました。

そのシャン・サの書いた「碁を打つ女」が欧米圏でも高く評価されたというのは、例えて言うなら日本の緑茶が中国で発酵して美味な紅茶になって伝わった、みたいな感じで妙な親近感が沸きますね。

1900円+税ですが、これは、文句なく「買い」です。

上手いのですが、 ★★★☆☆
1937年の満州を舞台にした10代の少女と、20代も日本陸軍士官の男との運命的交差の物語です。以前に読んだ『午前4時、東京で会いますか?ーパリ・東京往復書簡』のシャン・サさんの小説です。


歴史的事実を(歴史的事実にも、人や国や見解に違いが有りますし、あって当然ですし、無理にすり合わせる必要も無いとは思いますが)上手く小説として成り立たせるディティールになっています。女の章と男の章が交互に少しづつ進んでいき、無理に説明的にならないところもまた良いです。物語の結末も、それぞれの絡みも充分に小説として上手くて読ませます。とてもこの作者が若いとは思えないぐらいに上手いです。


ですが、上手いからこそのヒロガリに欠ける気がどうしてもしてしまいます。歴史的事実を使い、なおかつ戦争という非情に大きなチカラを使っているのですから、流れとしてどうしても先が読めてしまいますし、上手いからこその、優等生的つまらなさを感じてしまいます。10代の少女に対して20代の男の方が上手く書けているのに、人物として希薄なのです。10代の少女の辛辣さや、矛盾や、感情のふり幅の大きさなどに上手くは無いけれど(20代男の主人公と比較して)リアルさを感じるのです。ただ、どうしてもそのリアルさを作者のリアルさに、またその擁護に感じてしまいました。しかし、上手いです。ですが想定の範囲を越える『何か』が無かったのが残念。とても上手く書けていて、設定も、描写も上手いのに。何故かとことんのめり込むという所まで行かなかったです。小説の終着点も、上手いけれど、上手さが鼻についてしまうのです。それでも作為的過ぎて興醒めな短絡的なモノよりは上手いです。


上手い小説が好きな方、運命的、という単語が好きな方にオススメ致します。
ちょっとちょっと ★★☆☆☆
なんだか歴史教科書のちりばめを読まされているみたいで、はっきり言ってこれに文学賞を
与えるフランスってちょっとちょっと。著者は頭固い優等生タイプですね。知ったかぶりの
日本人描写が許せないです。