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日本の怨霊

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 平凡社
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負の世界から見えてくる日本文化の霊魂 ★★☆☆☆
 怨霊がいるかいないかの詮索ではなく、それを信じてきた長い日本の歴史や民俗、あるいは日本人の集団感覚や心意伝承が紹介されている。

 怨霊として有名な菅原道真や平将門、あるいは崇徳院、後醍醐天皇など御霊信仰に触れるに至っていない。本書はこれまで本格的伝記のない井上内親王と早良親王に多くのページをさき、天皇家に祟る怨霊を中心に描いている。「平家物語」を初めとして古典の中に、何か世に異変が起きたり、怪異があれば、すぐ井上内親王(呪いの聖女)や早良親王(怨念の皇太子)の名前が出て来るメカニズムになっている。それもそれら怨霊が日本文化に深く浸透していることを表すものとみていいのだろう。

 早良親王が唯一心許した臣下・大伴家持が命を注いで編纂しようとした「万葉集」、これを再編纂することが両者の鎮魂にもなると信じたのは五百枝王だったという。復位した五百枝王が家持の供養のために動かないはずがないということで著者はその奥津城を捜す。更に、早良親王への鎮魂の旅は、淡路島の遺跡、奈良の遺跡へと著者の足を運ばせる。奈良市八島町には崇道天皇(早良親王)八嶋陵がある。
 井上(いがみ)内親王から始め、早良(さわら)親王、藤原広嗣、更に御霊八社の神々まで、怨霊となった人々を取り上げている。
 
 最後に「怨霊とは何か」「怨霊信仰とは何か」を述べている。敗者の霊が死後も祟りをなすをなだめる…日本文化における御霊信仰の広がりの結果、「勝者が敗者に謝罪し、鎮魂するという世界的に希有な逆転の論理」=【鎮魂の文化】が日本にはあるという。「日本の怨霊が日本の文化の原点」ともいう。負の世界が支えてきた日本の文化に目を向けた本書の意味は大きい。
 巻末の著者入魂の一句…【死者の神(たましひ)の音(こえ)なき音(こえ)を聴く】    (☆5つ 入力ミス)