とにかくわかりやすい
★★★★★
なんといっても文章がわかりやすい。
また、事例が設けられているので、具体的にイメージしやすい。
あと、本書は、通常の文章には黒、用語には濃い青、重要な文章には薄い青、と実質的な3色を使い分けており、読みやすくなっている。
内容については、「交付契約説+権利外観理論」の立場から書かれている。
創造説に関する記述はほとんどない(コラムで簡単に紹介する程度)。
突っ込んだ議論はなされておらず、ほとんどが判例・通説の紹介に留まっている。
その分、判例の引用はやや長く、とくに理由付けが引用されている箇所が多いのは理解の助けになる。
また、百選とのリファーがなされているので、判例の理解が十分でなかったとしても、百選を参照しやすくなっている。
ただ、学説の記述が少ない分、手形法・小切手法の理論的なおもしろさを体感できないかもしれない。
しかし、まずは基本を修得することが何よりも大事であるから、この点はマイナスにはならないだろう。
手形法・小切手法については本書くらいの情報量で十分ではないか。
なお、本書は、民法や会社法などの関連諸法の知識があることが前提となっている点は注意を要する。
その点の知識があるなら、手形法・小切手法の学習の最初に本書を読むことには何ら支障はないであろう。
結論としては、本書と百選だけで試験対策としては十分ではないかと思う。