半導体の基礎が理解できる良書
★★★★★
全体の約半数を半導体の電気伝導機構やPNダイオードなどの基礎の解説に費やしており、残り半分がバイポーラトランジスタやMOSFETなどの実応用デバイスの基礎的内容に触れている。全体的に重要な理論式が数多く出てくるが、式の導出過程がきちんと解説されており著者の苦労が感じられる。初めて勉強する者にとっては取り組みやすいのは言うに及ばず、ある程度知識のある技術者にも良いリファレンスである。前半の「半導体の基礎」はともすれば難解なままの通り一遍の説明になりがちだが、本書では他書では類を見ない明快な記述がなされており、著者の奥深い知識と読者への配慮が感じられ、私のもっとも気に入った部分である。現在実用になっている半導体デバイスにとどまらず、有機半導体や単電子デバイスなどの応用にも想像力をおおいに掻き立ててくれる。是非一読をすすめたい。