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嘘だらけのヨーロッパ製世界史

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新書館
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史的唯幻論を西洋史に適用すると ★★★★☆
著者はバナールをダシにヨーロッパ中心主義批判を展開する。マーティン・バナールのギリシア文明アフロ・アジア起源説は学界にセンセーションを巻き起こし、論争は今も続いている。著者はバナールに批判的な論者の主張をひとつひとつ取り上げ、バナール説と彼に対する批判のどちらに説得力があるか、自己のコメントを交えながら論判を進める。著者によると、バナールの「主張することは多くの点で正しく立派だが、根拠が薄弱である」というのが批判者のひとりヴェルミュールの結論である。「しかし、なぜ、薄弱な根拠に基づいて正しい主張が出てくるのであろうか。」
  ヘロドトスはギリシア文明が先行するエジプト文明に負うところが大きいと明言しているのに、近代になると「ギリシア文明は北方からやってきたアーリア人が他の文明と関係なく独自に築いた」とされるようになった。バナールは「ヨーロッパ人の文化的傲慢をたしなめるため」近代の見方を否定し基本的には古代の見方が正しい、とした。バナールが激烈な批判に晒されたのは「ヨーロッパ中心主義の世界をひっくり返したから」である。今にいたるまでヨーロッパ(=欧米)中心主義が主流の考え方をなしていることを考えれば、これは当然の反応といえるだろう。史的唯幻論の立場からかねてヨーロッパ中心主義を批判している著者は論争の細部を丁寧にたどる。歴史学の紀要に載ってもよさそうだ。それならこの本は歴史の本、というか歴史学に属する本かといえばそうでもない。著者によれば、論者はふつう、ヨーロッパ中心主義の思想は不純な動機を含まず「あらゆる根拠に万遍なく目を配り、公平無私な普遍的立場に立っている理論」と思い込んでいる。これに対する著者の立場は「ヨーロッパ中心主義の思想は現代においてもなお、ヨーロッパ人の誇りを支えている思想であり」、「どれほど理論的に間違っていることが示されても」、「この思想を克服するのはそう容易ではないであろう」という箇所(pp 217-8)に明瞭に示されている。
唯幻論だけで歴史は語れるか? ★★☆☆☆
 前半は白人の由来と「ギリシャ文明はエジプト文明からの借り物であったが、大航海時代以後、アフリカ、アジア、アメリカの植民地化を正当化するために白人以外の人種は劣っているという思想を作った。そのため近代ヨーロッパ文明の基礎となったギリシャ文明はアーリア人が何者にも頼らずに作り上げたものという風に改ざんされた」と主張するマーティン・バナールの著書「黒いアテナ」とバナールを批判する白人学者の主張の紹介になっています。
 正直、これだったら「『黒いアテナ』を巡る論争」とかいうタイトルの方が相応しいように思えますが、それでは売れないでしょうね。
 岸田秀の歴史観を一言でいえば「目には目を」です。彼は同じ方法論で日本と中国、韓国の現状についても分析しています。何と中国と北朝鮮はかつての大日本帝国が“目指した”白人勢力からのアジア開放を受け継いでおり、本質的には同じだというのです。さすがにこれには抵抗を感じます。
 勿論岸田秀の主張にも一理あることは認めざるを得ませんし、何を指摘しても「無意識ではそうなのだ」と言われるような気がします。しかし、日本がアジア開放を言い出したのは戦争が始まってからであって、当時の日本人も最初からそれを目標にしていたわけではありません。アジア開放はそれを正当化するための後付の理屈の筈です。
 岸田秀は経済や思想だけでは歴史は語れないと言っています。もっともです。歴史は縄のように様々な事情が絡み合っているものだと想います。しかし、私には岸田秀は唯幻論だけで歴史を語ろうとしているように思えるのです。
無理がある。 ★★★☆☆
白人が黒人のアルビノから発生したという推論自体が、遺伝子の研究者からは失笑されてしまうほど無理がある為、信憑性も説得力も無く、漫画の世界になってしまっている。
黒人のアルビノは、色素以外は黒人の遺伝子を持っているので、骨格や顔立ちは黒人のままである。
この本に書かれている仮説が正しければ、白人は「色の白い黒人」であって、顔立ちや体型は黒人と変わらないという事になる。
又、白人がアルビノであるのならば「白人のアルビノ」をどのように説明するのだろうか。
初めに結論を想定し、その結論へ導く為に無理矢理な論を敷いた様に感じた。
しかし、洒落として読めば楽しむ事はできる。
西洋史の決定版 ★★★★★
「人類はアフリカにおいて黒人として誕生し、黒人の一部がアルビノ(白子)となって白人が発生し、少数派の白人が多数派の黒人に差別されて肥沃なアフリカから痩せた寒冷地のヨーロッパへと追われ、ここに白人種がヨーロッパにおいて人類最初の被差別人種として成立したというのが史的唯幻諭の仮説である。」

人類の起源は『アフリカ単一起源説』がほぼ定説になっている。
遺伝的に、黒人から白人は発生するが、白人から黒人は発生しないという事実からすると著者の仮説は大変説得力を持つ。

「歴史時代からごくおおまかに話を始めると、古代エジプト帝国において差別され、虐待された奴隷が逃亡してユダヤ民族を形成し、そのユダヤ民族の中で差別された階層がキリスト教徒となり、そのキリスト教がローマ帝国の差別された下層階級に浸透し、ついにローマ帝国を乗っ取り、キリスト教に支配されたローマ帝国がヨーロッパ民族を支配し、差別してキリスト教を押しつけ、キリスト教徒となったヨーロッパ民族の中の差別され、疎外された階層がキリスト教(カトリック)に反抗してプロテスタント(文句言い)となり、その一部のピューリタンがヨーロッパから追い出されてアメリカに渡り、先住民を差別し、虐殺してアメリカ帝国を建設し、今や世界征服に乗り出している。」

欧米のプロパガンダを完全に覆す主張に胸のすく思いである。
名著『ものぐさ精神分析』以来読者の目から鱗を落した最多記録を誇っている著者であるが、この著作はその記録をさらに更新し続けるであろう。

今のプロパガンダ歴史教科書は早急にこの著書に変更すべきである。
この著書で解説されているバナールの『ブラック・アテナ』の邦訳も出版されており、合わせて読まれることをお勧めする。


おもしろいです。「仮説」には絶対必要な「説得力」もあります ★★★★★
この本では、3つの説を念頭において著者の「史的唯幻論」が展開されます。3つの中では、古代ギリシアが古代エジプトの植民地ではなかったかという、バナールの『黒いアテナ:古典文明のアフロ・アジア的ルーツ』が中心で、この理論と、それに対するいくつもの批判論文の検討がかなりの部分を占めます。

他の2つの説は、フロイドの『出エジプト記』を参考とするユダヤ教の成立についての理論と、高野信夫の白人の起源についての理論ですが、後者については、著者の公式ホームページで、「白子」とか「アルビノ」をキーワードに議論が行われ、本人の考え方を読むことができます。

我々が学ぶ世界史では、近代以降はヨーロッパが世界の発展の中心を占めています。そして、その文明は、ギリシア文明を重要な古典とし、その「復活」から近代が始まるとされています(ルネッサンス)。ドイツ人を中心として、そのギリシア文明は、白人(アーリア人)が中心となって創ったものであると偽装されたというのがバナールの説です。

著者は、「アーリア人」自体が、日本の天孫降臨神話と同じ架空の存在ではないかといいます。それじゃ、私が今でも覚えている高校世界史の中の数少ない知識である「アーリア人のインド進出」はどうなるの、ということですが、これが広まったのは、イギリス人の植民地経営に都合がよかったからだといいます。他の部分も、ヨーロッパ人に都合が良すぎるというのです。

さらに、著者は、ルネッサンスを自分たちの文明の「復活」というのは、日本人が、中国文明を自分たちの古典文明だとするようなものだということもいいます。これ以外にも、大量に加えられた「注」などには、日本やアメリカについての「史的唯幻論」も展開がされています。

不思議なのは、この本が、大きな書店に行っても精神分析のコーナーにはあるが、世界史のコーナーには置いてないことです。