フル・ボリュームで。
★★★★★
スティーヴ・アールが、こんなブルーグラス・アルバムを作るなんて当時、誰が予想したろう。マンドリンをかきならしながら歌うCopperhead Road(1988)はメチャクチャかっこよかったし、1997年の傑作El Corazonに1曲ストレートなブルーグラスが入っていて、びっくりしたが。ここで聴けるのは、全曲スティーブのオリジナルによる正真正銘のブルーグラス。バックを務めるのはそのEl Corazonでも競演した、鉄壁のアンサンブルを誇るデル・マッカーリー・バンドだ。ライナーで自身も書いているが、ブルーグラスの父・ビル・モンローへの崇敬が、本盤に結実。ビルモンが、ブルーグラスが、本来もっていたエネルギー、革新性がスティーヴをとおして見事に甦っている。超絶テククニックが売りのへなちょこブルーグラスとは精神性が違うのだ。ロックを聴くように是非フル・ボリュームで聴いて欲しい。