でも、無理にオリジナルを作らずに、たとえばUSB-IO販売会社のひとつであるテクノキットの出しているボードについて解説、応用などにしてもらったほうが親切だったと思う。
また、身につくといっている内容がUSB-IOについてではないところも残念。
類書がないだけに評価したいが、電子工作に少しなれている人間には物足りない。
そんな元電子工作少年にはまさにうってつけの本だ。USBの給電を使った照明、冷却ファンといった電子工作の基本部分からはじまり、USBコントロールキット(USB-IO)とActive BASICを組み合わせた機器コントロールへと難易度が若干高まる。最初はPCからLEDのオンオフ。これなら単純なので久しぶりの半田付けでも楽々。ところがそこから先はLEDのルーレットや7セグを使ったデジタル時計と若干難易度が高まる。しかし、プログラム次第で表示をコントロールできることがPCを使った機器コントロールの醍醐味。これからクリスマスなので、子供にLEDのルーレットを作ってやろうかという気にさせてくれた。
後半になると、難易度も高まる上に、必要機器も増えてくる。外付けの液晶ディスプレイに文字列を表示するとか、温度センサーICで温度を取得したり、サーボモータとWebカメラを組み合わせてUSBを使ってコントロールするなど、本格的な基礎的電子工作に入る。このあたりまで読み進めると、回路図やプログラムを見ながらいつかはUSB制御でロボットをという夢も広がってくる。
そして、本書の最大の特徴は、ネットワークを使ったリモートコントロールにも話が続いていることだ。後半で取り上げた液晶表示や温度計、WebカメラはTCP/IP経由で制御したりセンサーの情報が取得できるようになっている。これもまた今後の夢が広がる。たとえば、室外の温度をずっとモニタリングできる。ただ端なる温度のデータを24時間ため込んで何をするといわれてしまえばそれっきりだが、そうした一見ばかげたことが、電子工作少年の心をくすぐるものだ。また、監視カメラとしてWebカメラを外出先からコントロールすれば、楽しさもひろがる。これまでは視点が変えられなかったWebカメラもちょっとした工夫で何倍もする高機能な監視カメラと同じような機能が得られる。これこそが、現代の電子工作の醍醐味といえそうだ。
お勧めは、昔の電子工作少年をはじめとして、最近のはんだごてが触れない電子工学科の学生さんなど、基本をしっかりおさえたい方や、ソフトウェアのプログラムから電子制御分野に幅を広げたい日曜プログラマさんなど。電子工作とプログラムが連動すると、夢がどんどん広がる感覚を多くの方々に実感してほしいものだ。