加害者、被害者の関係者の心情がよく描かれている
★★★★★
この作品は、読み始めると次の展開が気になって、一気に読み進めてしまう久しぶりの本だった。17年前の弁護士一家殺人事件で死刑になった男の子供が大学生になり、恋をした女性が被害者の関係者だった。加害者側の子供は養子になり、とてもいい家族に恵まれてやさしい子供に育っているが、被害者側の女の子は復讐だけを考える父親に育てられ、疑問に思いながらも父の感情にさからえない・・・。非常にかわいそううな環境で育つ。死刑になった男は本当に実行犯だったのか?実際には凶悪だった共犯者が出所した。出所した共犯者が処刑された男の子供に会いに行ったことで、新たな悲劇が生まれる。感情とはやっかいなものだが、人が人を思い行動する。そういう連鎖が物語を生む。スピーディーな展開で、次はどうなる?というわくわく感のあるストーリーで、読み終わったあとも、その後の余韻にひたれる物語だった。一読の価値はあると思う。