台風で足止めされて出会った本
★★★★☆
美しい小箱を開けると現れる屈強な大男。
小箱を開けた主人が誰であれ、命を下されれば逆うことはできない。
それがどれほど過酷で屈辱的なものだったとしても・・・。
「アラジンと魔法のランプのロマンス版かな・・・?」
「虎に変身する魔人には、ちょっと惹かれるな・・・」と、
台風で足止めされて、どうしても時間を潰す本が欲しかった私は、
表紙が気に入ったこともあり、これでいっか〜と購入。
いやいや・・・暇つぶしどころか、もう熱中ですよ!
二千年にわたる血塗られた時を経て、
デラによって現代に召還された不死の戦士ハリ。
あまりに長く、あまりに壮絶な絶望の日々から、
ハリに魂と身体を取り戻させた女性、デラ。
デラもまた、人でありながら、人知を超えた能力を持ち、
それゆえに仲間以外の人(や世界)から自らを隔絶して生きてきた。
ハリとデラは(もちろん)お互いに惹かれあっていくのですが、
徐々に濃厚な関係になっていく2人の、この過程が、最高に良かったです。
ハリは頁が進むに連れ、どんどんステキ度が増していくので、
デラの欲求の高まりに、思わずシンクロしそうになりました(笑)
H中のデラは超外国人っぽいです。
H後のハリはパラノーマル好きの心を鷲掴みにしてくれます!
変身系や、サイキッカーがお好きで、
野生的な身体に紳士的な内面を併せ持つ男性に魅力を感じる方、
おススメです!
アクションロマンス!
★★★★★
妖術師にかけられた呪いのせいで、箱を開けた主人の命令は絶対という「奴隷」生活を二千年間送ってきたヒーロー。
今まで箱を開けた主人は彼を文字通り「奴隷」として扱うのですが、今回箱を開けた女性は、彼を一人の人間として扱います。
箱の中から出てきてなおかつ虎に姿を変えられるヒーロー。超能力者の家系に生まれ、自身も超能力を持つヒロイン。そんな彼と彼女の間に芽生えるロマンス。さらに命を狙われるヒロイン。ヒーローに呪いをかけた妖術師との戦い、などなどたくさんのアクションシーンも見所な作品です。
アメリカの有名サイキック漫画の原作を手がけていた作者らしく、随所に見られるサイキックアクションはさすがに圧巻の一言。
ロマンス方面も、命がけでお互いを守ろうとする主役二人がドラマティックに盛り上げてくれます。
なんだか映画にしても格好よくなりそうな作品でした。
パラノーマルものですが
★★★★★
「シェイプシフター」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか?
人狼をはじめとする、人間が動物などに変身するのを総じてシェイプシフターと言うのだそうです。
これはヒーローが虎のシェイプシフターものです。
物語は、ヒロイン・デラが北京を旅行した際に、蚤の市で怪しげな老婆からきれいな小箱を売りつけられる
ことから始まります。ホテルの部屋で小箱を開けてみたらば、アラジンの魔法のランプのごとく
中から長身の逞しい男が登場して、彼はデラの奴隷だ、デラが彼を召喚したのだと言うのです。
それだけでも十分不思議なのに、それ以来デラは命を狙われるようになります。なぜ?どうして?
デラは誰から、何故、命を狙われているのか?これにどう片を付けていけばいいのか?がサスペンス。
ヒーロー・ハリとデラが信頼を築き、障害の多い二人の愛をどう貫いていくのかがロマンス。
互いに惹かれるのを素直に認めるので早い段階からイチャイチャし始めますが、
アチチになるのは終盤になってから。昂りつつも押さえている二人の情熱が楽しめます。
物語はサスペンスもロマンスも停滞することなく、とんとん進んでいくし
超能力について理屈や解説をくだくだと述べる事も無く、スイスイ読めます。
ラストはいささか水戸黄門的展開でいきなり救世主登場というちょっぴり安易な気もしますが
娯楽小説ですからそれで良いのです。満足の一冊。