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ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)
価格: ¥672
カテゴリ:
単行本
ブランド:
岩波書店
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<もう一人の自分>に耳をすませば
★★★★☆
ベンは母親と弟ハワードの三人暮らし。
ベンは実験校に入れられ、特に化学で能力を伸ばしていました。
ベンは秀才で、人の頼みを拒否できない、静かな少年です。
そしてベンには体の中にジョージという少年がいるという秘密がありました。
ジョージはよろしくない言葉を使いますが、それは物事の本質を突いています。
ベンとジョージは共に性格は違いますが、仲良くやっていました。
しかし、ベンの中のジョージの存在を父親の後妻に知られ、
ベンは「精神病患者」にされてしまいます。
さらにベンが友達とみなすウィリアムに対しジョージが怪しいと言ったことで、
ベンは不満を爆発させ、ジョージに「黙れ」と言い、絶交してしまいます。
ところが、ウィリアムが悪事を働いていたこと、
そしてジョージがその魔の手からベンを救おうとしていたことに気付きます。
ベンはジョージに「黙れ」と言ったことを詫び、
無視しないことを条件にジョージは再び戻ってくることになります。
重い主題であり、また人間社会のダーティな面を記述しており刺激が強いかもしれません。
しかし、思春期の子供の感情の変化をカニグズバーズ女史は
味の利いたユーモアでもって豊かに表現しています。
そして<もう一人の自分>がいても構わない、むしろ当然だという女史の立場には
私は救われた感じがしました。
鈴木敏夫スタジオジブリ・プロデューサーがあとがきを書かれています。
鈴木氏は<もう一人の自分>が今でもいると述べています。
そして思春期は若者特有のものではなく、歳を重ねた大人にも思春期はあり、
思春期は終わらないという主張は興味深かったです。
ちなみに、その中で映画『魔女の宅急便』と『ぼくと<ジョージ>』をめぐる話もあります(228‐230頁)。
1970年の作品だとは、驚きです。
★★★★★
ベンジャミンの中には、もう一人の男の子、ジョージが棲んでいる。34年も前に書かれた話とは信じられないほど、新鮮で読んでいてドキドキします。カニグズバーグ作品には外れがありません。特に松永ふみ子さんの訳のものがいいですね。
「ぼくと(ジョージ)」は、カニグズバーグ作品集の3に、「ドラゴンをさがせ」と共に入っていますが、邦文の質が違い過ぎます。一冊に別の訳者のものを入れるのは、読者への配慮が欠けています。