インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

マタタビ潔子の猫魂(ねこだま) (ダ・ヴィンチブックス)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: メディアファクトリー
Amazon.co.jpで確認
小さき者の放つカタルシス ★★★☆☆
第4回のダヴィンチ文学賞を受賞した作品ですが、私は京極さんを初め、
妖怪物が結構好きなため手にとってみました。

さえない独身派遣社員の潔子は実は血筋から憑き物を引き寄せる力を持った
一族の唯一の末裔であり、その飼い猫は聖武天皇の時代から潔子の先祖に憑きながら悪霊を退治をし、
その魂を食らうことで生きながらえてきた猫魂です。

潔子は職場では疎まれ、浮いた話もなく、もんもんと怪しいスピリチャルカウンセラーの言葉を支えに生きています。
そして時折彼女の周囲の人々の中にオニヒトデやセイヨウタンポポといった外来生物に取り憑かれ、潔子に執拗に
いやがらせをしてくる人が現れます。

そして嫌がらせに我を忘れて心に隙をのぞかせた時、猫魂はするりと彼女に入り込み、外来生物の憑き物を
痛快に退治していくというストーリーです。

ヒーローでも美少女でもない小さき者である主人公が突然力を持って活躍(?)するというのはある種のカタルシスと
同情をもって少なからぬ人の共感を得るものです。そして流行りで日本につれてこられた外来生物が憑き物になって暴れる
というもの斬新ですが、ちょっと考えさせられたりもします。

妖怪退治中は記憶がないため結局潔子は何かに目覚めるわけでもなく、これからもさえない生活が続くのでしょう。
それを糊口のためとはいえ、何か見捨てることもできずいつまでも寄り添う猫魂のシニカルな姿が目に浮かびます。

軽妙で「いかにも文学作品」というものからは程遠いですが、つらくても誰にでも味方はいるものだと、
少し元気をもらえる作品だと思います。
この世はバトルロワイヤル ★★★★☆
娯楽として気軽に楽しめる本であるが、気軽に見過ごせない問いを孕んでいる。
田万川家は、夏梅種の血筋。夏梅種の血筋を、猫の憑き物は好む。
主人公の田万川潔子は、知らずに大物の猫の憑き物を飼っている。
その猫魂こと、唐万侶が語り手である。ちなみに、潔子は彼のことを「メロ」と呼ぶ。
タイトルとイラストに釣られて買った本であるが、なかなか面白かった。

潔子のように思ったことを口に出せずに腹に溜め込みやすい性格を持つ者にとって、もちろん社会は生きづらい。
そして、この社会、日本在来の動物たちにとっても生きづらい。憑き物たちにとっても生きづらい。
二重写しに構えられた生きづらさ。そこには、誰も助けに駆けつけてはくれない。
悲しみ苦しみ妬み恨みといったネガティブな感情をいかすしかない。
潔子の苦労は決して珍しいものと思えないだけに、微笑ましくも、痛快と言い切るには世知辛い、なんとも不思議な読み心地。
サービス精神旺盛な楽しいエンタメ小説 ★★★★★
第4回ダ・ヴィンチ文学賞の受賞作ですね。
けっこう話題になった前回受賞作『地図男』とはまったく異なる
テイストの、こちらはシンプルに楽しいエンタメ小説です。
妙なタイトルと東村アキコさんの表紙イラストが相まってパッと見
読者層を選びそうな顔つきですが、40男にも違和感なく読めました。

根暗でダメダメな主人公と憑き物という陰気臭いキャラが意外に
イキイキと(?)描かれています。それに「水戸黄門」や「遠山の
金さん」みたく、読者の期待に期待どーりに応えてくれるサービス
精神も心地良し。読者が見えていてうまいですね、この著者さん。

実用的な効能としても、
イヤな人に出くわしたときに「この人には○○が憑いているかも」
なんて想像すると、ちょっとだけガス抜きになるかもしれません(笑)。
上質なライトノベル ★★★★★
一般エンタメの合理性と、ライトノベルの荒唐無稽さを両立した作品です。
とても読みやすくコミカルな展開なので中高生にもお勧めできます。
本作が受賞したダ・ヴィンチ文学賞を主催しているのは、ライトノベルレーベルのMF文庫Jを持つメディアファクトリーですが、
萌えとお色気を重視する同レーベルはむしろ苦手という人にこそ強く支持されそうな、
頭の柔らかい大人向けのライトノベルと言えるでしょう。