第I部のためだけでも価値はあり
★★★★☆
第I部はマルコフ連鎖モンテカルロ法、いわゆるMCMCについて過不足なくまとまっていて参考になると思います。
過不足、の過の方は、門外漢からすると難しすぎて何を言っているのかわからない、不足は理論的説明(および証明)がなくてどうしてそうなるのか理解できない、という意味ですが、そのあたりがバランスよくしかも必要なことはまとめられているという印象です。
ただもちろん対象がある程度そのようなことに興味がある人向けなので、数式がなく平易に説明してあるという本ではありません。
仕事でMCMCを使ったソフトなどを使用しはじめて理解のためにいろいろ本を探しましたが、少なくとも数学が専門ではない他分野の研究者として私にとってはこの本の第I部は和書のテキストとしては決定版だと思いました。
しいて言えば・・・第I部以降は各論すぎてついていけませんでした。
第I部だけ単独で本になっていてもよいような気がしますが、とりあえず現状では第I部のためだけでもMCMCについてまとまった和文が読みたい人にはよい本だと思います。