クライアントはどのように回復するのか?その時起きるセラピスト内的体験は・
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心理療法の中で、セラピストにどのようなイメージが生じ、セラピストは何を感じ、何を体験しているのか。
著書であるセラピストがクライアントとの関係性の中で、心理的な傷つきを体験した後に「子どもイメージ」が生まれ、実際の心理療法の展開に繋がるという・・驚きである。
治療の転回点となる「子どもイメージ」を理論化する際の方法論として、分析心理学から日本神話との対応を用いており、それも興味深い。
なかでも中心に扱っているのは、セラピスト側の逆転移としての内的体験であり、イメージとして伝わってくる。
セラピストに「子どもイメージ」が生じる治療的条件、治療プロセス、治療効果、などについても具体的であり、「子どもイメージ」を単に漠然としたイメージで取り扱うのではなく、理論化し治療促進的に機能する可能性を提示している。
現代社会が、数々の問題を抱えている中、心理臨床に携わる人だけでなく、新たな視点で希望を示してくれるのではないか。