残酷な神が支配する現代社会という名の荊の檻で後ろ向きに闘う少女の生き様に涙ス。
★★★★★
★5の上。
著者の24冊目。
婦人警官が息抜きでお持ち帰りされてみたら、そのお相手がよりにもよって高校生なハメ撮りマニアだったという『ハメドリ王子』は、アイドルフェチな妄想力が大爆発する別ヒロインの3話までで、休刊で無理エンドながらノリノリオバカなフェティシズムがステキすぎ。
万引き女生徒とコンビニバイトな同級生男子生徒のひねくれさわやか青春謳歌劇場『岡部さんのこと』は、完全にキャラ勝ち。
と、ここまでは明るい淫行系なのですが、
メインディッシュに当たる、カラー4頁含む総116頁の『CLAY−DOLL』は、教師によって誘拐され、飼育監禁された少女のトラウマを描いた、現代社会問題に対する真剣勝負な鬱系人間ドラマで、冒頭、車椅子の上で手足を拘束されアイマスクと猿轡を噛まされた全裸の少女のモノローグからはじまり、自分が汚物であると認識している少女の凄まじきトラウマと、悪夢に苛まれ声にならない叫びをあげて夢から醒めてもなお終わらない悪夢をとことん描き、シアワセは王子様が運んでくるものだと思っていた少女のココロが無理強いされた虚言により少しずつ少しずつ腐ってゆくという、うすら寒い生き地獄をまざまざと魅せつけるも、残念ながら『フラミンゴR』の休刊で未完のまま終焉。
犯罪被害者を食い物にするネット住人とか、幼女嗜好な警察官によって流出する罠とかに込められた現代社会への痛烈な皮肉が素晴らしすぎる作家性。
保身のため母が持たせた防具すら使えるはずのない、ひとの痛みに敏感な少女の、その痛みこそが築きあげた少女のオトナ心に、ウルウルしちゃった私ですが、いつの日か、この凄まじくもやるせないドラマの続編を描かせてくれる救世主様が必ずや降臨してくれるものと信じてやみません。
そんな取り合わせなうえ未完ですし、あまつさえエロより漫画な作品ですが、それでもいーよという方はぜひ。