偉大な著作の最初の1巻
★★★★☆
6冊からなるこのシリーズの最初の1巻「日常性の構造」が副題となっている。この"日常"の言葉どおり、この巻では人口-15-18世紀にどう変動したか?-衣食住-世界中で人間は何を食べ,何を着、どこに住んでいたか-が記述される。つまり日々の生活はどうであったかということである。
このように英雄も極悪人も出てこないだが、無味乾燥で退屈かといわれればまったくそうではない。当時の証言者と著者の語り口が絶妙にマッチし、素晴らしいルポタージュのように過去の人々の姿が浮き上がってくる。読んでいて退屈せず。好奇心を満たされる素晴らしい著作である。
ただ、注の配置が不親切なのと、図版が白黒なので肝心な色がわからない点が欠点といえば欠点だろう。