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Inside Hi-Fi

価格: ¥1,363
カテゴリ: CD
ブランド: Rhino/Wea UK
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Konitzの真実 ★★★★☆
 筆者は以前、コニッツは "Subconsicous Lee", "Ezz-Thetic" そして Gerry Mulliganとの "The Haig Sessions"の三つで決まりだと思っていた。それは、もしジャズの魅力がimprovisationに尽きるとするならば、いわゆる後期コニッツは、アドリブに疲れた敗残者にしかみえないという理由であった。

 しかし年を取り筆者じしんも疲れてきて(笑)これはあまりに一面的なみかたに過ぎないという気がしてきた。たしかにここにはあの触れれば手を切られるような鋭いアドリブはみられない。そのかわり、ジャズがはじめてという方でもわかりやすく、安心して聴けるメロディアスな音楽がある。そしてこれは筆者の好みだが、ギターが入っているのも嬉しい(これはたとえばSonny Stittの名盤 "Plays Bird"でも同じだ)。"Motion"のようなピアノ抜きのトリオとはちがって、和音がピアノとギターの両方によって補充されることで、響きが大変ゆたかになる。

 コニッツが好きなら、何も初期・後期と評論家ふうに分類して、あれがいいこれが悪いと喧々諤々するよりも、素直にこのコニッツの好ましい姿勢に耳を傾ける、そのほうが幸せになれないだろうか?
盛りを過ぎたコニッツ ★★★☆☆
 コニッツの代表作のひとつに数えられているアルバムだと思うが、これを聴いて「やっぱりコニッツはいいね!」などとのたまう御仁はかれの本当の凄みを聴き逃している可能性がたかい。信仰はひとをつよくするというが、コニッツが師のレニー・トリスターノ理論に凝り固まっていたころの、迷いを知らない'50前半までの演奏群のほうが全然すごみがあるのだ。ここで聴かれるコニッツは、アドリヴ一本やりのプレイに疲れた敗残者としての姿にほかならない。本アルバムと「サブコンシャス・リー」とか「ミーツ・ジェリー・マリガン」とかと聴き比べて、それでも本アルバムを推す、という向きは、ちょっともんだいがあるといわざるを得ない。
コニッツのハート&ソウル ★★★★★
 私が聴いた最初のリー・コニッツのアルバムは、「モーション」だったのだが、これで一度にコニッツが嫌いになってしまった。決して強くブロウしようとしないスタイルは、単に自分を出すのが怖いだけで、単調なフレーズを小刻みに継ぎ足すのは、リズム感に自信がないだけなのではと思ってしまった。破綻がない代わりに聴き所もなく、煮え切らない演奏が延々と続くような印象を受けたのだ。
 彼の演奏の姿勢を評する時、それは全く的外れではないと思うのだが、しかし大事なことは、コニッツは本当は、豊かな内面を持った表現者であり、相当な力量のあるサックス奏者なのだという真実だ。

 私がこのアルバムで驚いたのは、ここで聴ける彼の素直さだ。トリスターノのもとで築いた硬質な音の感触はそのままに、心の赴くまま音を紡ぎ続けるような自然体の彼がいる。決して情緒的ではない、シンプルな響きの音が、聴き手の体の中を流れるように通り抜けていく不思議。

 コニッツは、理性の力で無理矢理捻り出したような無味乾燥な音楽をやるミュージシャンではなかったのだ。

 私はこのCDで、初めてコニッツのサックスの「音」の魅力に気付き、コニッツのリズム感の絶妙さを知った。1957年の作品なのだが、音が非常に良い。ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音も良かったのだろうし、デジタル・リマスターも良かったのだろう。思えば昔聴いた「モーション」は、カセットテープにダビングしたものだった。ジャズ・ミュージシャンを理解する上で、音の質は極めて重要な気がする。
 因みに、私は白人ジャズに根強い抵抗感があるのだが、このメンバーはなかなか見事だと思った。特にビリー・バウアーのギターは新鮮で、かなりバップな感覚もあって意外だった。・・・反省。