至高の画力を堪能できる大展覧会
★★★★★
私自身も小さい頃はまんがばかり描いていて、作文で「将来は医者かまんが家になりたい」などと書いたのだけれど、第一志望は医者であったから、そのうちに「まんがばかり描いてないで」勉強するようになったのであった。この恐るべき画集を見て、つくづく、医者を選んでよかったと思う。こんな人がいて、かなうわけがない。
浦沢直樹のことを「片付けられない症候群」と揶揄する人がいる。せっかくの偉大な大長編が結末であっけなく破綻するのに疑問を感じたことがあるのも事実である。しかし、画集にその心配はない。驚異の画力、あの名シーンが迫力の大判で、あの登場人物が美しいカラー版で、これでもかと押し寄せる豪華本である。あれがない、これがない、と文句をつけることは簡単だ。確かに、「Masterキートン」の絵がないのはなぜなのだろうか?しかし、収集癖を満足させることでなく、彼の絵を虚心に鑑賞することが目的なら、私ならばこれでもう十分である。
MASTERキートンは・・・?
★★★☆☆
1/3位が各浦沢氏の漫画からの抜粋になっています。
本のサイズ分の新しい浦沢イラストを期待すると肩透かしを食らうかも。
『N・A・S・A』や『踊る警官』から『PLUTO』まで、
浦沢作品を振り返るのには、浦沢氏のインタビューも相成って上出来。
ただし帯の煽りにあるようなロングインタビューという程ロングではありません。
そして、在りません。
名作『MASTERキートン』関連は1コマもありません。
MASTERキートンが個人的に一番の思い入れがあるため
この画集の出来としては寂しいものでした。
色々な噂は耳にしますが"画業25周年記念!!"を謳う以上
収録してきちんと自伝的画集を完成させてほしかったです。
描き下ろし無し キートンはいない
★★★☆☆
単行本の表紙を大きくしたイラストがほとんどを占めています。
原画は少なく、描き下ろしの新イラストはゼロ(と思う)です。
『Masterキートン』のイラストは当然ながら皆無です。
そんな中、浦沢直樹氏の仕事場の写真が一番の見所です。