全体を通して著者が強調していることは、先入観に惑わされることなく自由にアイデアを出して実現していこうという姿勢だ。失敗を恐れず、なおかつ失敗の中に隠されている成功への鍵を見つけようということだ。ここで、著者は、仏教の「三性の理」という概念を用いて失敗を成功に変えることのフレームワークを説明している。しかし、すべての失敗に成功への道があるというように受け取らとられかねない議論は行き過ぎではある。また、本書で著者が示している例は、創造性というよりも、むしろ既存のものを元にした創意工夫に近いものが多いように思えるのは残念だ。
著者の議論の展開に同意できない点が多少はあるが、日本の将来を担う若い人だって立派だということは十分に伝わってくる。中学生でも高校生でも楽しめる内容が多く、ロボットコンテストに関心のある人は必読であろう。そして、他の人が真似できないことをしよう。(村藤一雅)