シューマンとくれば、クララの存在を無視して語ることは出来ません。クララは夫の死後、たくさんの子供を育てながら懸命にロベルト・シューマンの作品を精力的に演奏して回ったことで有名ですが、作曲家としても非常に優れた才能を持っており、ピアノ協奏曲などの作品を残しています。私も今回、自分が演奏もするシューマン最大のお気に入り曲であるクライスレリアーナを弾いていて、ふとクララの作品のＣＤが販売されていないかと検索したところ、ピアノ協奏曲「イ短調」と、この歌曲集のピアノ編曲版に出会いました。ビックリするほど安価で、すぐに注文をかけ、何度も何度も聴いています。このＣＤは実際の歌曲ほど聴いた時のインパクトは薄いですが、その生涯を夫に捧げたクララが、慕い続けた夫の作品を何とか後世に伝えていきたいという、熱意と優しさを感じさせる、まさに癒しのＣＤと言えるでしょう。聴いていて心がなごむ良い曲ばかりです。手元に置いて、シューマンのＣＤと並べてあげたい、そして二人の歩んだ波乱に満ちた人生を偲ぶのに格好の１枚です。