上巻はマニ36。モデラー向き好適資料。
★★★★☆
著者藤田氏が特別職用車、鋼製雑形客車に続き、RM LIBRARY に展開する客車解説第三弾は『マニ35・36・37形 改造荷物車のバリエーション』である。キワ物的車両を取り上げた前2作に比べ、国鉄末期まで生き延びた荷物車はかなり親しみやすい。
上巻(134巻)はうち、主に座席車を種車とするマニ36を解説する。種車ごとに図面・写真でバリーエションを解説。変形車もほぼ全バリーションを押さえており、特に図面は左右側面の他、ベンチレーター位置まで示され、切継ぎで製作したいモデラーには実に好適な資料。実は著者も模型に添付されていた実車解説に触発され、実車のバリエーションに興味を持ったのが研究の発端という。残念なのはスロネ30改造グループに見られるような特徴的な偏った水タンクや、水タンクを自体を床下に持たない車両など、床下機器については一切図面及び解説が無い。まぁ、クリアーで豊富な写真から十分判断できるではあるが…。窓のわずかなずれやステップの形状にも言及しているのに、本車種の大きな特徴である床下機器は一切言及していないのは藤田さんらしからぬ所。これで星1つ減とさせていただく。下巻で補足解説でもあれば良しとせねばなるまい。
この手の本にお約束の全車の車歴表も当然あり、実車研究にも欠かせない。
マニ35・マニ37の下巻(135巻)も楽しみだ。