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国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

価格: ¥788
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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講釈師 ★☆☆☆☆
 鈴木宗男有罪確定を機会に、積読になっていた本書を読むことにした。評判になっていた本書をなかなか読む気にならなかったのは、直感的に信用できる本ではないと感じていたことと読みにくい文章であったことによる。「講釈師、見て来た様な嘘を言い」と言う言葉があるが、国家の情報収集活動や拘置所内部のように実態を知る人間が少ない分野について、講釈師の話を鵜呑みにしてしまうことは危険であり、特に講釈師が自己正当化に必要に迫られている状況の場合尚更その注意が必要である。予想通り、本書は自己弁護や自己礼賛の言葉に満ちており、「国策捜査」に対する怒りより、根拠が自明ではない自己礼賛などの記述への不快感の方が強くなってしまった。
 人間40才を過ぎたら自分の顔に責任を持てと言うが、無罪判決を受けた村木厚子元厚生労働省局長と有罪判決であった鈴木宗男、佐藤優の顔や発言内容、物腰などを比較して見ると、少なくもテレビを通して見る限り、相当に異なったものを感じさせられる。顔つきで人間が判断出来るのであれば、詐欺事件や二枚目俳優の犯罪は無くなってしまうことになりかねないし、骨相学を研究したわけでもないから、軽々に断ずるべきではないが、66年間の人間としての経験から言えば、苦労に苦労を重ね過ぎた叩上げ政治家やノンキャリ外務官僚としての辛酸を舐め過ぎた人の中には、劣等感の裏返しで常識を超えた人物が混じってくる可能性があるように思われる。あるいは、判事、検事、外交官、上級官僚として真面目に努めている人々を知っているが故に、簡単に講釈師の弁に酔わされるわけにはいかないと感じている。
罠に向き合った書 ★★★★☆
真実を語りたいという欲望は、これほどのものを書かせるのだ。と、罠に嵌った筆者が気持ちのやり場を求めた強烈なエネルギーを感じました。

本書の内容は、主観的な被害者としての訴えだけではありません。
ロシアの政治とビジネスの緊密な結びつきや、交渉の時期を見るノウハウ、官僚機構に関する記述等々、記述は多岐に渡り、簡潔ながらも情報量が多い。
彼の外交官の分析眼を感じ入ることができ、結果、主張の信憑性を高めています。

わたしが一番面白いと感じたのは、筆者は立場上発生する感情の方向性をよく理解していながらも、担当の検事を前に、その人物が立場を超え人間としてどのような価値観・世界観を持っているか?ということの見極めをしたことでした。

そんな彼の視点は、多くのことを気づかせてくれます。
この書が事件に対する単なる告発本に留まらぬのは、本来なら今も第一線で活躍し続けているはずの人物が書いたものだからなのでしょう。
真のプロフェッショナルをそこに見た(見続けた)。 ★★★★★
本書は前半と後半ふたつのパートに分かれると思う。前半、ロシアとの平和条約締結に向けての政治家と官僚のはたらきをつぶさに文章で追ううちに、今まで空想だにしなかったことが脳裏に浮かんだ。漠然とだけれど「国」とはいったい何なのだろうか、と。「国家」と言い換えても良いし「国益」とも同義かも知れない。ニュースや新聞雑誌ではそれはあくまで流動的であり、こころに留まることはなかった。佐藤氏の筆力と描かれる外交という内容が「国」に関する本質に注意を喚起させたのだと思う。これまでは日常のごくささやかな世界にしか関心を払わず、その外野のことは軒並み他人事であった。好むと好まざるとに関わらず私たちは国の構成員の一部であり、国家の支配下にあり国益の為に不利益を蒙ることがないとは限らないのだ。後半は検察官と佐藤氏の取調室を舞台にした会話に大半が割かれている。三谷幸喜の「笑いの大学」を思い出した。「時代のけじめ」としての「国策捜査」という「国家の罠」にはまった佐藤氏。ここで云う「時代のけじめ」とは何者の意思の表出なのだろう。私たち個人ではないだろう。本書を読んで初めて知る内容ばかりだ。そこで上記の問いが繰り返される。「国」の意思が時代のけじめを求めたとするならば、「国」とはいったい何なのだろうか。本書読了後、この世の中で一番怖いのは私たち個人個人ではないかと思った。「世論」って何だろう。本当にわたしたちの最大公約数的な総意なのだろうか。高度情報化社会の入り組んだ細分化された世界において私たちは基本的に無知である。そういう我々の「世論」は非常に危険な要素を孕んでいるのではないだろうか。マスコミとは不思議なシステムだ。一方で虚実入り乱れた情報を私たちにインプットしたかと思えば、本書のような回想録を出版する。それはマスコミの一方的なはたらきなのではなく、私たち個人個人の要求しているギブアンドテイクの関係なのか。もしそうであるならば、ここで云う「私たち個人個人」とはいったい誰のことなのだろう。肝が冷える本である。しかも知的好奇心を満足させてくれる一級の本でもある。
ロシアと日本の政治的位置がよくわかります ★★★★★
ソ連崩壊による冷戦終結後の日本の外交の方向や国際情勢、ロシア情勢について知るには非常によい文献です。その当時の日本の政治・外交的情勢と深層心理的な動きがよくわかります。、あれほどたたかれる必要があったのか、鈴木宗男がどんな仕事をしていたのかがよく理解でします。非常に読みやすく知的に書かれた本です。鈴木宗男、田中真紀子、辻本清美、小泉純一郎などいった茶の間を騒がした政治家達の絡みの意味合いも考えされられました。佐藤優の文章能力の高さを感じ頭の良い人だと感じます。また、『自壊する帝国』読む必要を感じました。
運悪く国策捜査で逮捕された外務省職員による克明な手記 ★★★★★
外務省のロシア専門家であり、国際情報収集と情勢分析のプロだった著者・佐藤優さん。
彼が2002年逮捕され、東京拘置所に勾留されているところから手記は始まります。
それは、「国策捜査」と呼ばれる「時代を転換するために必要な象徴的事件」
の被害者となった者の、悲劇の一部でした。

ロッキード事件、リクルート事件、最近では厚労省局長の疑惑事件。
いずれも「国策捜査」と言われていますが、それらを描いた手記の中では秀逸な作品だと思います。
特に、特捜の担当検事とのやりとりは非常に詳細で、臨場感があります。
さらに、著者や外務省の東郷氏、鈴木議員のロシアに対する深い知識・造詣は
ロシア人の性格・文化への深い洞察もあいまって、唸らされました。これぞ外交官です。

また、議員であれ、商社員であれ、日本国益を第一に考えて行動する。
そんな方々が逮捕される国策捜査とは何か。著者の分析も説得力がありました。

「出る杭は打たれる。」日本特有のことわざかもしれませんが、本当に打たれてもいいのか。
日本はこれでよいのか。そんなことを強く考えさせられる1冊です。
著者にはマスコミによって作られたイメージがありますが
それを抜きにして、一度は読まれることをおすすめします。
うみねこ島 ★★★★☆
“賢い”人がどういうふうにものを考えるのか、その一端に触れられる。でも賢いことをずっとやっているのはかなりツライのではないか、とも思えてくる。
平田健 ★★★★★
【別視点でみること】★非常に興味深い。各所に「こうだったのか」と初めて見る視点ばかりで、とても新鮮だ。
▼やはり事件は両面から見るべき。そんな思いが強くなる!
滝田敏幸書店 ★★★★★
あとがき・国内亡命者として(P511~)に滝田が登場します。
永田町、外務省、検察庁を震撼させた衝撃の問題作。