キリスト教の教会建築 その美しさに触れるムック
★★★★☆
教会というものは実に美しいものだということが如実に分かるムックでした。宗教的な場である教会ですが、比較的信者でない者も足を運ぶことがあるせいか、厳粛なイメージと親しみやすさが混在しているかのような雰囲気が漂っていました。
本書は、『日本の教会をたずねて』の続編にあたる書籍です。九州や沖縄といった前作のエリアを補うといったものが3分の1ほど占めていました。残りのページでは前作で紹介しきれなかった教会を丁寧に掲載してあり、明治・大正・昭和の時代に作られたステキな教会が全国にあるのを再確認できる内容です。豊富な写真と分かりやすい解説がついていますので、教会を訪ねる旅のガイドブックとしても重宝しそうです。
明治村に移築された河原町教会や京都聖ヨハネ教会も60ページ以降に紹介してありました。ここで第2のお役目を果たしているわけですが。明治村に移築されたこともあり、皆に外観の美しさだけでなく内部構造の素晴らしさも堪能できるようになりました。
有名な建築家ヴォーリズの教会建築が特集で組まれていました。救世軍の京都小隊もそうでしたか、何十回と訪れた教会でしたが、このことは全く知りませんでした。
102ページからの「信仰を象る美しきもの」で掲載されているステンドグラスの美しさや祭壇の見事さもよく分かりました。
このような教会建築を扱った出版が他ではほとんどなく、この企画を考えた平凡社の編集者の見識の高さを評価すると共に、各教会の詳しい解説は訪れる際の参考にしたいと思います。八木谷涼子氏の解説と美しい写真が上手く組み合わさった出版だと思いました。