「鉄道は俺のものだ」
★★★★★
主演は、『最前線物語』のリー・マーヴィン、『ワイルドバンチ』のアーネスト・ボーグナイン。
テンション上がりますわね、上がりましたね。
ボーグナイン演じる「19号」のキャプテンが、「ホーボー」と呼ばれる無賃乗車の、ほとんど浮浪者
まがいの人間を、見つけては、鉄ハンマーでボコボコ殴りつけて、線路に落とし、轢死させたりする訳で。
こりゃ、アンタ、犯罪 だわね。命がけの無賃乗車。気の毒なホーボーの仲間はそれを見守るだけ。
時代は大恐慌のど真ん中、生きる。喰うために生きるのではなく、戦うために生きる。
ボロは着てても、そういう心意気。
ホーボーから、「エー・ナンバー・ワン」と呼ばれる主人公は、無賃乗車の「帝王」。
大仰な、それにだいたい、何故に、そんなことに命を賭けられるのか?
他の方も指摘されていた、神話性、寓話性がそこにはあるのだ。(途中)
本能で感じるべきカタルシス
★★★☆☆
リー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインの鬼気迫る格闘の映画です。
正に意地と意地のぶつかり合い。
そこには根っこのない誇りはあっても美学はありません。
金も女も正義すらないからこそのただ負けられないと言う男の意地だけなのです。
道徳では語れない本能で感じるべきカタルシスを堪能しましょう!
ホーボーたちに立ちはだかる鬼車掌ボーグナイン
★★★★★
大不況時代のアメリカ、列車に無賃乗車するホーボーたちを意地と誇りにかけて排除しようとする鬼車掌、
「北国の帝王」を名乗るナンバーワン・ホーボーにリー・マービン、鬼車掌にアーネスト・ボーグナイン
口だけが達者なホーボー志願の若者にデビッド・キャラダイン、三人の個性派俳優たちがガップリ組んだ巴戦は
色恋沙汰のかけらもない男たちだけの物語だ。
ホーボーにだって仁義はある。
こそこそ乗り込むわけじゃない。
蒸気機関車の給水塔に切符がわりのご挨拶、名前と行き先を書きこんで高らかに無賃乗車を宣言する。
高架橋、待避線、そして列車の外で屋根や床下にしがみついての移動、知力・体力の限りを尽くした
壮絶な戦いが始まる。
戦いの合間に「帝王」が若者に向けて吐く言葉になんともいえない蘊蓄がある。
それは単なる無賃乗車のテクニックではなく、極めた者のみが到達しうる人生の心構えと処し方だ。
いい年齢をした私もうつ向いてしまいそうな、重い言葉が飛ぶ。
ストーリーの流れから結末は見えているのだが、若者の絡みが絶妙、ラストシーンの爽快さは
まさしく「男の映画」、硬骨漢ロバート・アルドリッチ監督らしくひとつの時代を描いて色あせることがない。
火の玉アーネスト・ボーグナイン VS 男の美学リー・マーヴィン
★★★☆☆
アーネスト・ボーグナインって子供のときに初めてみたときに「すごい顔してるなー」と思ったが、その顔を、もう、思う存分見れる映画。
目の玉が飛び出そうなくらいにらみつけたうえに、ブルドッグのような顎と歯をむき出して怒り狂う。
これはこわいわー。
ボーグナインの演じる鉄の鬼車掌と対峙するは、ホーボー達(こんな言葉初めて知ったが、19世紀のホームレスのこと)が生きる伝説とあがめるコードネーム「Aナンバーワン」(なんたる単純な名前!)。リー・マービンは、火の玉ボーグナインは違って、ハードボイルドな男くささを魅せる。
妙に印象的だったのが、川で行われる洗礼のシーン。なんか、ものすごく胡散臭い。なぜかリー・マービンが洗礼を受けようとしている。これはなんだったんだろうか?シガレット小僧が、洗礼の場で服を盗むという愚か者ぶりを強調させるためか?
男の闘い 〜今観るととてもリアルな格闘シーン
★★★★★
大不況下のアメリカ、オレゴン州を背景に職にあぶれ無賃乗車を繰り返すホーボー(いわゆる浮浪者)のAナンバーワン(リー・マービン)と自分の乗車する列車では断固として無賃乗車を阻止しようとする偏執的な車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)の男の闘いを描いた作品。公開当時は旅客車の無賃乗車と勝手に思っていたが、貨物車に無賃乗車する話だった。
昔TVで観た時は、アクションは地味な感じを受けたが、今観ると逆に迫力満点。ボーグナインのハンマーやクサリを用いた格闘シーンはまるで本当に殴り合っているかのようなリアリティがあり、この作品の格闘シーンを観てしまうと今のアクション映画が決められた殺陣を演じているだけにしか見えなくなってしまう。
そして、このリアルな格闘シーンがあるからこそ、お互いの意地を賭けた男の闘いが重みを持ってくる。また、正面衝突しそうになった列車をボーグナインが必死になり待避所に誘導するシーンは迫力満点。悪役としてもその形相の凄さもあるが、しっかり観どころは自分のものとしている。
もうひとつの味付けとしてマービンとキース・キャラダインの二人のロード・ムービーという面白さもある。ベテランが新米を教える形式を取り、マービンがホーボーになるには無賃乗車が出来る勇気があればよいだけでなく優しさも必要と説くが、それがわからないと列車から叩き落すなど単なる男の友情物語になっていないところもロバート・アルドリッチ監督らしい演出。
オレゴンの雄大な自然をバックに男の闘いを迫力いっぱいに描いたアルドリッチの70年代の傑作だ。
ところで、オープニングはホーボーがボーグナインに列車から叩き落されて列車に引裂かれるシーンから始まる。このシーンのバックに流れる音楽はオレゴンの自然にマッチするのんびりしたカントリー風の曲で、シーンとあまりにあっておらず違和感を感じたのは私だけだろうか。