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立法学―序論・立法過程論

価格: ¥3,675
カテゴリ: 単行本
ブランド: 法律文化社
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行政実務家の手で書かれた本。良書と思う。 ★★★★★
 公共政策大学院における講義向けの文献かと思うが、そうでない人も十分楽しめる。
 特に、参考図書が多く紹介され、参考図書からの引用が多いため、読み物として楽しめる。特に政治家の本は多くなかなか買えないので、このように触りを紹介してもらえるとありがたいという印象。
 内容的には、「立法学」といいつつ、昔で言う「行政学」、「政治過程論」をリアルに書いた実務書という印象である。
 つまり、フォーマル、インフォーマルな意思決定のプロセス、誰が意思決定にかかわるかについては、大変よく分かる。
 また、第4の権力と言われる「マスコミ」について取り上げてあるのも新しいように思う。

 おもしろいのは、行政実務サイドからのアカデミズムへの批判である。 
 大学在学時代にもよく感じたが、社会分野の先生が象牙の塔に籠もっていて、現実的な問を解決する努力が欠けているように思えた。
 実経済や実社会とアカデミズムの交流の中からこそ、意義ある研究成果、あるいは新しい理論が出てくるのではないかと思っているのだが、理想論過ぎるだろうか?
 実際、社会人が直面している日々悩ましい問題の解決、あるいは中長期的な方向付けに何かアカデミックな書籍が参考になる日が来て欲しいと願っている人は多いであろう。

 個人的には、「立法学」という以上、いかなる場合に法律が必要か、立法と他の手段が選択できる場合にどのような判断に拠って立法を選択するのか(特に規制法のケース)という、「そもそも、なぜ立法が必要か」という根源的な問(法源といってもよいのだろうか?)についてもう少し何か書いてもらえるとよかったと思う。
他に類書なし ★★★★★
立法学という書名から立法技術に関する解説書かと思い、手に取ったところ、
立法過程の制度と運用(我が国の議院内閣制の特徴)を通じて、日本政治の
特質を見事に浮かび上がらせており、一気に通読してしまった。
霞が関住人としての経験知と諸学問での研究成果を上手く融合させるとともに、
単なる理想論ではなく現実的な考察を体系立って積み重ねていく手際は
なかなかである。また、これまでブラックボックス化していた立法を巡る
表には出て来ない(出て来たとしても断片的)インフォーマルな動きの実態が、
本書によって明らかになったことは、立法過程に関する今後の研究の深化にも
資するに違いない。
日本政治に対する義憤と、あるべき姿を見失いつつある官僚への憐憫の情が
ひたひたと伝わってくる好著である。
定番の基本書 ★★★★★
3年前に刊行されて評判を呼んだ書の新版。
小泉政権の意義、位置付けを追補するとともに、欧米での政治任用、
行政立法など随所に加筆が施されている。
初版での基本的主張は新版でも変わっておらず、(日本伝来の)ボトムアップ
による調整型の意思決定を基本とした、政府・与党二元体制の下での、
決定と責任の所在が不明確な、部分利益の積み上げに終始する「分配の政治」
と訣別するために、(日本伝来の)リーダーシップの封印構造を打破して、
内閣主導の政治システムを確立する必要があるとするものである。
我が国における政治的意思決定の過程を、段階を追って制度及び実態の双方から
丹念に描き出すとともに、主要な論点(政官関係、官僚制、政治主導)については
独立した章を設けて論じており、その文章のわかりやすさ、歯切れよさと相俟って、
大変読みやすいものとなっている。
難を言えば、官僚のアイデンティティークライシスを強調する一方で、
近年の公務員制度改革を巡る評価について件の歯切れのよさが見られないが、
これは、現役官僚ゆえに書かないというより書けないことに因るものかと推察される。
初版は公共政策系科目の教科書として多くの学校で採用されたと聞くが、
新版もまた、定番教科書、定番研究書として、基本書の地位を占めるであろう。

立法学の「体系書」 ★★★★★
 これまでに「立法学」という名の文献は幾つか出されてきたところであるが、いずれもモデルケースや政治学や行政学といった観点から論じられてきたものが殆どである。それに対して、当書籍は、憲法や行政学等これまでに蓄積された学問の研究業績と、著者が自ら行政実務で培った経験が体系的に示されたまさしく「体系書」ではないだろうか。
 自身は現在中央省庁に勤務している身であるが、経済が成熟した社会から「心の豊かさ」を求める時代が到来し、人々の価値観の多様化などの大変革の時代を迎えていると実感している。このような時代においては、これまでの「官僚主導」や「政治主導」という机上の議論で終始するのではなく、政治・行政システムが真に国民のニーズに応え得るよう、政治・行政システムの在り方について建設的な議論を行い、それを現実のものとしていくべきである。
 この実現に向けては、政治家や官僚だけがコミットしていけばよい問題ではない。公共政策系大学院で学習される学生の方のみならず、これからの政治・行政の在り方真剣に考えている方々にとっても、知的好奇心と、個々人の想いを支える知識を獲得する上で、オススメの一冊である。
公共政策系大学院での基本書 ★★★★★
 現役厚生労働官僚が九州大学法学部出向時の成果として取り纏めた、立法学総論及び立法過程論から成る一冊。
 現代日本の政治・行政の行き詰まりの有様と構造について、議会前と議会内の立法過程を順次辿りながら、主要論点は途中で別途章を起こして詳述し、解き明かしていく手際は見事である。
 また、憲法や政治学、行政学分野での立法に関する先行業績を隈なく踏まえた学際的内容は、生の官僚体験に根差した臨場感溢れる記述とも上手く融合して、説得力がある。
 さらに、脚注やコラムに記された文献内容や記述も興趣に富んでおり、読む者を飽きさせない。
 確かに著者自身もはしがきで認めているように、学問的な新たな展開や斬新な発想に若干乏しいことは事実であるが、本書が、今後の立法学研究・教育を進めていく上での基本書の一冊となることは間違いなく、本書で示された様々な論点をさらに深めていく形で、今後の立法学研究が展開されていくことが期待される。
 学問と実務の間の相互フィードバックを志向している公共政策系大学院での基本書として、大いに活用されるべき一冊である。