インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

悪徳の都〈上〉 (扶桑社ミステリー)

価格: ¥820
カテゴリ: 文庫
ブランド: 扶桑社
Amazon.co.jpで確認
ハンターらしい“骨太”な男の物語 ★★★★☆
『狩りのとき』で幕を閉じたはずの“ボブ・リー・スワガー・サーガ”だったが、今度は父親のアールを主人公にした3部作の“サーガ”が続いて書かれていた。本書はその第1作に当たり、’01年、「このミステリーがすごい!」海外編第14位にランクインしている。

太平洋戦争で硫黄島の英雄だったアール・スワガーは、1946年、その戦功によりトゥルーマン大統領から名誉勲章を授与された。彼は、海兵隊を引退して製材所で働いていたが、その腕を見込まれ、ギャングと腐敗の町ホットスプリングスを浄化するために、違法な賭博の摘発(手入れ)をおこなう部隊の隊員たちを鍛え上げて欲しいと、教官としてリクルートされる。彼は指導者としてのみならず、自らも命がけで武力による摘発行動に参加するのだ。一方、町を牛耳る陰の統括者マドックスは、アールと摘発部隊のおかげで散々な目にあわされ、武装強盗団を呼び寄せて復讐へと転じる。双方あとに引かない闘いはアールを窮地に立たせる。そして、永年彼の心の奥底に秘めてあった父チャールズの死の驚くべき真相が部下の調査から明らかに・・・。

とにかく、ハードアクションてんこ盛りの展開のストーリーだが、その根底には銃器との関係が切っても切れないアメリカのありようが濃密に描かれているような気がする。本書は、まさに“骨太”な男のドラマなのだ。

余談だが、本書には往年のエンターテイナーや銀幕スターが実名で登場したり、のちにラスヴェガスをつくる‘バグジー’が出てきたり、なんとなく歴史が感じられて、そういう意味でも興味深い。
最高としか言いようがない ★★★★★
悪徳の都、ホットスプリングスを牛耳るオウニーとそれを摘発しようとする部隊の話。私の嫌いな訓練シーンの描写は少なめで、上巻から激しい銃撃戦が巻き起こる。山岳民族ギャングチームとの激闘、後半では一敗地にまみれたスワガーが武装強盗団と激しい戦いを繰り広げる。時代背景はちょっと古めだが、息も吐かせぬ展開に脱帽。お勧めの1冊。
ストイックでタフな男 ★★★★☆
伝説の狙撃手ボビー・リー・スワガーシリーズの一端に属する外伝的作品。ボビー・リーの父親アール・スワガーを主人公に、復員直後、警察官になる前の事件を扱う。
太平洋戦争後、海兵隊を負傷除隊した彼の元に、アーカンソー州ホットスプリングス市を裏で牛耳るマフィア殲滅への協力を依頼するFBI捜査官が現れる。
前半はさながらエリオット・ネスの元に編成されたアンタッチャブルのような活動が描かれる。が、この破竹の活躍も意外なところから綻びはじめ・・・。
後半はボビー・リーシリーズと雰囲気は似る。自分の尊厳と誇りのためにたった一人でも戦い続ける男・・・。ボビー・リーの本編シリーズでも再三描かれてきたテーマだ。
ストイックでタフといった人物像はボビー・リーと同じ。また同じく家族への思いを抱える、悩めるヒーローであることも似ている。第一次大戦の英雄だったというアール・スワガーの実父に対するアールの複雑な思いはボビー・リーの父への思いと比べてみるのもよいだろう。例によって銃器に関する豊富な知識が開陳され、たくみにストーリーに混じる(「ブラックライト」でもキーになった銃器装置が本作でも、重要なツールとして登場する)。
アール・スワガーの造形が息子のボビー・リーと瓜二つなのは笑えるが後半の展開もボビー・リーを主人公にした作品と同じような展開を取るなど、やや同工異曲の感がないではない。が、ボビー・リー作品が好きであれば十分楽しめる。
アール・スワガーの親友の弁護士やラストシーンでは、「ダーティホワイトボーイズ」で登場するパイ従兄弟が少年として登場するなどシリーズ作品ならではのゲスト出演が楽しい。
また実在のマフィアでラスベガスを開発したと言われるバグジーとその愛人バージニアが登場するのもご愛嬌。
見せてやりたい肝っ玉 ★★★★☆
ボブの父、アール・スワガーの記念すべき最初の物語です。

原代の「HOT SPRINGS」って、実際にアメリカにある場所の
地名です。
私がこの本を読んだ限りでは、日本の温泉場の事みたいです。
温泉場なんで、観光客がワンサカと来ます。そうなれば、
歓楽街も出来るんで、利権も絡みます。
後は、読んでのお楽しみ~。

私は、戦争へ行った事が無いので何とも言えませんが、第二次
世界大戦で活躍した伝説の男アールが主人公なので、チンピラは
言うに及ばず、暗黒街の黒幕も・・・ッフって感じです。
殺した人の数が違う。修羅場の数や濃さが違う。肝っ玉が違います。

しかし、戦場では戦友からの尊敬を集める英雄も、国に帰れば
タダの人。

そこいら辺もうまく書いてしまうんですよねぇ。ハンターさんは。

アールのシリーズは、銃撃戦はもちろん最高なのですが、
!悪人どもを凹ますアールの啖呵に、個人的に痺れています。
特にお気に入りの啖呵があるんですけど、言ったら悪いもんね。
ああ、言いたい・・・。

アールの魂の遍歴の物語 ★★★★★
 『悪徳の都』……ううむなんたるタイトル……これじゃまるでパゾリーニやフェリーニの映画ではないか。原題が固有名詞なんだから、そのまま『ホット・スプリングス』 でいいじゃないか、というのが最初の感想。とっても不思議な邦題だ。

 ホット・スプリングスは実在の街である。そこで実際に起こった元軍人たちの蜂起という事件も、歴史的に記録された事実なのだそうである。スワガー・サーガそのものも アメリカの現代戦史に深く関わるものだとは思うけれども、この作品ほどに実名固有名詞が飛び交う作品というのは、今までにはなかったことだ。ボブ・リーの誕生直前、

父・アール・スワガーの物語であるだけに、時代設定にきちんと念を入れた努力が窺われる作品。    ハンターは、元々、スペイン現代史に材をとった『さらばカタロニア戦線』でデビューした作家である。本書でも、アメリカの矛盾、とりわけ戦争の意味・無意味を鋭

く追求しながら、ランボ-のように帰還兵が彷徨わねばならない「報わぬ祖国」の土壌を描き、その上に逼迫してゆく男たちの軋轢と闘いのドラマを築いている。

 相変わらず銃撃戦の描写がとりわけ活劇ファンの心をくすぐってやまない。もはや、それが売りと言っていい作家であるだけに、この作品でも銃弾は雨霰と飛び交う。

 しかし、そうした血腥さの中にあって、二つのサブ・ストーリーが作品に奥行きを与えているのは、サーガ読者としては興味深い。一つは父チャールズ・スワガーの謎の死 とアールの魂の遍歴に纏わる部分。もう一つはアールと妻ジュニィとの家族愛の問題。未来に繋がる母と子のドラマである。

 この辺をきちんと描き切るところが、ハンター作品をここのところ毎作成功させている最大最強の理由なのじゃないだろうか? あくまで人間主体のドラマがあって、そこ に展開されるのが苛烈なアクションであるというバランスの妙。このあたりが、やはりハンター作品の徹底した強みなのだと思う。