投稿作というか、伝聞の話が多いのだが、それでも著者本人が体験したかのような、臨場感のある語りはさすが。
ちょっと都市伝説っぽい話も幾つかあるけれど、話としては面白い。
興味深いのは「お寺に泊まった銀行員」。妖怪譚としても読める話(いわゆる金霊とはまた違うのだろうけど)。ちょっとお財布が怖くなる。
そしてオチがつかぬ「黒いセーター」。何か意味ありげで、不可解な話である。秘められた因縁を想像するだに恐ろしい。
霊そのもの!という話だけでなく、幽霊と誤解された人間の話や山の精としか思えぬような何か、身のまわりの奇妙な出来事など、ヴァリエーションに富んだ話で楽しませてくれる1冊だ。