頑固一徹のテクノ・ポップ
★★★★★
86年発表。時代遅れだの、古臭いなど揶揄される作品ながら、当の本人たちは全く時代を気にせず、己の道を突き進む・・・というある意味で日本人の気質に似た理解のしやすい作品だと思う。近年のエレクトリック・ミュージックの草分け的な存在ながら、誰にもこのサウンドは出せないというまさに孤高のグループであり、これほどドイツ臭さを強く感じさせるグループも稀。音の一つ一つが厳選されており、とにかく魅力的。時代を反映してかサンプリングなども大いに導入され、デジタル化はしているものの重圧なサウンドは変わっておらず、このこだわりには恐れ入る。前半3曲はメドレー形式で繋がっており、後半の曲も微妙に曲調を変化させるものの、統一されたカラーでまとめられており、完成度は恐ろしく高い。当時は時代遅れで済まされた作品かもしれないが、今聞けばかなり新鮮なサウンドだろう。軽いエレクトリック・ミュージックに飽きたらこの鉛のような作品を聞いてみるのも一考。曲はシンプルでポップ。テクノ・ポップの主流がこれです。
祈!再評価
★★★★★
私のクラフトワーク初体験がこのアルバムでした。当時高校生だった私、深夜地元U局でOAされていたSONY MUSIC TVでの「ミュージック・ノン・ストップ」のプロモビデオに今までない衝撃を受け、そこからすべてが始まることとなりました。
その後、彼らの初期の作品、他のテクノ・エレクトロ音楽作品まで興味を広げ、もう20年近くが経ちました。
今から思えばユーロ・ビート全盛で(こちらも大好きです!!)一方、テクノ「冬」の時代の当時、これにハマった私に同年代の理解者はいませんでした。ザラつくサンプリングボイス、シンプルな旋律のリピート、諸先輩方が今もあまり良い評価をされていないようです。
しかし、今もなおライブの最後は先出の「ミュージック・〜」でしめくくられるのは嬉しく誇りにも思います。
そろそろリマスター盤の発売があるようですが、ゼヒこの機会にもっと色々な方の耳に触れて欲しいと思います。
2004.2月の大阪ライブに立ち会えたのは一生の宝物です。本物の音圧、身体が動かずにはいられませんでした。
欲を申し上げますと過去の映像作品が出ればと思いますが・・・それまで死ねません!
クラフトワークが提示してきた観念世界
★★★★☆
アルバム「エレクトリック・カフェ」は彼等が過去の作品で採ってきた、実体あるものを電子音楽を用いて描写するといった作風をがらりと変え、対象を観念的なものに求めた一枚だ。そのぶん過去の延長線上でこのアルバムを聴くと戸惑う面もあるだろう。#1から#3は「ヨーロッパ特急」あたりから脈々と続く彼等の唱える音楽(エレクトロ・ポップ)の不変性、永続性賛歌といえる一方、#4は普遍的にあるコミュニケーションが反って個人の孤独を深めることを示唆していたり、#5はもはやセックスすら人間的営みから遊離しつつある現代の病理を織り込んでいたりする。頭の中に刻み込まれるポップなメロディとは裏腹に、深読みすると「人間解体」以上に意味深なアルバムだ。
15年後の「壺」
★★★★★
当時、レンタルレコード屋でこのアルバムのレコードを借り、聞いた時には「なんて無機質で面白くないサウンドなのだろう!」と思ったりしたのだが(それは私がKRAFTWERKを理解していなかったからだろう)、発売から15年以上たった結構最近、懐かしく思い(どこか、このアルバムのサウンドが引っ掛かっていたのでしょう。)購入して聴いてみると、これが見事ツボに嵌った。
決してこの時代以降の主流のシンセサウンドになっていったとは思われないが、新しい音(サウンドではなく純粋に音)を「追究」したり、実験的要素の持った作品を送り出すミュージシャンが稀有な昨今、KRAFTWERKの存在って、結構特異だったのだなと感じるのでした。
15年後の「壺」
★★★★★
当時、レンタルレコード屋でこのアルバムのレコードを借り、聞いた時には「なんて無機質で面白くないサウンドなのだろう!」と思ったりしたのだが(それは私がKRAFTWERKを理解していなかったからだろう)、発売から15年以上たった結構最近、懐かしく思い(どこか、このアルバムのサウンドが引っ掛かっていたのでしょう。)購入して聴いてみると、これが見事ツボに嵌った。
決してこの時代以降の主流のシンセサウンドになっていったとは思われないが、新しい音(サウンドではなく純粋に音)を「追究」したり、実験的要素の持った作品を送り出すミュージシャンが稀有な昨今、KRAFTWERKの存在って、結構特異だったのだなと感じるのでした。