主人公の西尾は、殺し屋でも闇医者でも著名人でもない、高校の歴史教師。
喧嘩をした事も無く、ヤクザに脅され失禁していた男が、下村や坂井という男達に関わりながら、自らの意思を持って闘いに向かって行く。
終盤のカローラレビンでのバトルは、自分の事のように爽快感・達成感があるのは、「普通の男」という所に自分を重ねてしまうからでしょうか。
ブラディ・ドールシリーズの中で、最も共感する作品です。

著者の「ブラディドール」シリーズの中でも個人的に1番好きな作品。
主人公はやくざに迫られてふるえあがる、「普通の男」。
だけど男は変わった。いろんな男との出会いによって。
そして走った。自分の走りたいように。愛車のカローラ・レビンと共に。
ラストから2行目の文章に、男の生き様が集約されている。

男が男であろうとする時、それは自分の弱さに打ち克つ一瞬の心の変化のありようである、それを感じ取る時が男の友情が交錯する時であろう、平凡な高校教師西尾と裏社会の下村たちとの魂の交差、そこに人が人を一途に信ずる魂の友情を見た、ブラディドールシリーズ最高傑作の呼び声高い名作である