精神医学とはやっかいな学問であり、社会が病気を作り出すという面があることを最初に受け入れた経緯もある。この著者のスタンスは、40年前の反精神医学にあると思われ、その記述の信憑性を確認したいのだが、述べていることが自分の信念によるものなのか、何か出典があるのか全く記載されていないので、反論不可能である。ポパーではないが、自然科学とは反証可能性をもつものとすれば、「やさしい・・・」と銘打って、本書のような記載をするのは、高度職業人としての倫理に反する行為と言えよう。

　なお、誤解も多数あるが、一つだけ訂正をしておこう。
P109

「高機能」とは、知能が平均か平均以上という意味であり、「軽度」と同じと考えて差し支えありません。


＊実質的には「知的障害がない自閉症」のことであり、研究者により定義が異なるが、少なくとも知的障害の定義の１つであるIQ70以上であって、知能が平均又は平均以上という記載は誤りである。