原題は"The Health of Nations: Why Inequality Is Harmful to Your Health"となっていることからわかるように、個人の健康や疾病罹患、死亡と不平等(格差)の間に密接な関係があることを実証的に示しているものである。と同時に、「国家としての健康」状態についてもさまざまな考察をおこなっている。
個人がそれぞれの能力を開花させ、その能力を用いることで社会に対して貢献することが理想の国家であるとすれば、市場主義、消費文化、格差社会といった合衆国における現状が「健康な国家」からいかにかけ離れたものであるか、気づかせてくれる。
保健・医療・公衆衛生分野で仕事をしている方々だけでなく、多くのかたに読んでみて欲しいと思う。
原題、"The Health of Naitons : why inequality is harmhful to your health" の邦訳、著者も訳者も疫学の医学者によるものだが一般教養書として読書可能、原書の副題を邦訳では書名にしていることは記憶すべきとおもう、「不平等」を書名にしてしまうところに出版社の性格を感じてしまう、より正確に、「経済的不平等」もしくは「社会的不平等」はなぜ健康に有害なのか、と付けるほうが良心的と考えるのだが、