維新とは日本の文化を破棄した政変期だ
★★★☆☆
この本はあたかも大阪から日本の国のあり方を変えれるような錯覚に陥る。
霞ヶ関は機能不全だともいわれている。
しかし、これがホントによい改革案なのだろうか。
私には疑問におもえてしかたがない。
one大阪は、中央集権のシステムであり、道州制はアメリカの統治システムであって、日本本来の統治システムではない。
現在の日本の統治システムでさえ、明治維新、敗戦後の中で築かれてきた西欧型の統治システムである。
だから今、日本人が目覚めなければならないのは、自分たちの足元にある歴史の中にある統治システムを学ぶことである。
江戸時代には、享保の改革、寛政の改革、天保の改革などの改革が実施されたから、江戸時代は260年ほど続いたのである。
今こそ、ハンチントンが述べるように世界文明の一つである日本文明としての新しい国のカタチをつくる時なのである。
その手法は、西欧社会から受け継いだ洋才ではなく、自分たちの足元にある文化文明から学ぶべき手法として、和魂和才の時代へ移行しなければならい。この本の欠陥は、西洋的洋才に屁だった改革案でしかないことである。
それと、少々自画自賛くささが鼻につく新書である。
日本人は、もっと、謙虚に物事を進めなければならない。
改革を急ぐと、足元をすくわれるだけである。
大阪問題の改革点を暴きだした処は、評価できるだろう。
<追記>
この上山試論のもう一つの欠陥は、時代錯誤も甚だしい中央主権型の改革案であること。
今、行おうとしている改革は、地方分権から地域主権の時代へ移行することである。
先進国はどの国も少子化高齢化社会へと移行していく。
その中で肥大化しすぎた都市は、縮小都市を目指さなければ生き残っていけないのである。
それに、都市が縮小していけば、足らない部分は他の都市間ネットワークによって補完されていくのである。
自前で全てを賄うフルセット型の都市計画(one大阪)は、40年前に破綻したことが実証されている。
時代錯誤も甚だしいのが、one大阪の都市構想案である。
これからの時代は、分散型の都市間ネットワークにより、
互恵的戦略の経済政策として機能していかなければ、都市は生き残っていけないのである。
それが、縮小都市であり、都市縮小の時代への始まりである。
one大阪は、愚策として過去に一部の業者だけが儲かったシクミである。
都市縮小の時代は、地域間ネットワークによる新しい経済政策への移行をビジョンとする。
大阪「からの」維新に期待
★★★★★
民主党に政権が交代して1年、国民に失望感が広がっている。政権が代わっても日本政府はほとんど変わらなかった。日本国が抱える諸問題が、政権交代によって目覚ましく解決されるかも、という期待感は幻想に終わった。「顔」を変えても「身体」は変わらなかったのである。
この事実は、日本の統治構造を全体として抜本的に見直さないとダメなのだ、ということを再認識させた。つまり、日本の政府システムは抜本的に改められなければならない。しかしこれは当の政府自身には不可能なことだ。自分自身の襟首を掴んで自分を持ち上げることが不可能なように、インサイダーには抜本的改革は不可能だからである
かつて明治維新は薩長という辺境諸藩が変革の担い手となった。
本書で語られるのは、「大阪がその担い手となる!」という決意である。
そういう形でしか、日本の統治構造の改革はできない。同感である。
大阪頑張れ!
平成の倒幕運動
★★★★★
大阪が「ただの地方都市」に落ちぶれて、半世紀が過ぎた。
その間、共産党知事、官僚知事、ノック府政、平岡の乱を経て太田官僚府政、そして、現在の橋下府政に至った。
大阪市のほうは、中馬市政以降、労働組合・極左・団体・ヤクザ、そして、自己保身のみの市会議員により、大阪市はもっとも活力のない大都市となり、全国生活保護ナンバーワンに輝いている。
そんな大阪を立て直す大阪維新が進行している。
支持率80%を突破する、待望のやんちゃ坊主橋下知事による大阪市役所解体、大阪・関西・日本再生の指南役である上山信一による「理論本」がこの本である。
そのエッセンスを一言で言えば:
1940年・国家総動員体制という名前でつくられた、「社会主義体制」を、関が原・大阪夏の陣から400年の眠りを覚まし、大阪から解体突破すること。具体的には、産業政策・社会政策・福祉政策・労働政策など、この国を蝕んでいる「経済統制」「国家統制」に終止符を打つことである。
大阪維新に興味ある方の必読の書!
なお、脱社会主義には、次の本の併読をお勧めする。
・野口悠紀雄「1940年体制―さらば戦時経済」
・中川八洋「民主党大不況(カタストロフィ)―ハイパー・インフレと大増税の到来」