本著は樹木研究家で神秘学研究家の著者による、古代ケルトのドルイドの智慧をもとにした樹木のスピリチュアル解釈の解説書。

が、エッセイ風に軽く読めるのかと思ったら、意外なことに非常に情熱的、かつ理知的にまとめられていて、最初は少々面食らってしまった。
女性が書いたとは思えないほど勢いと深みのある文章で、まだ日本にスピリチュアルブームが到来する前に翻訳された海外の神秘学の本がこんな雰囲気だったなと思い出す。
秘教的な占星術の解説本を読んでいるような気分になり、慣れてくると心理学的な象徴の連想が自然と生まれてくるので面白い。
樹木というものが、人間の無意識に根を下ろした根源的な「象徴」であるが故だと思う。
日本人はドイツ人と並んで「樹木」との相性が良いとされる民族なので、本書には何ともいえない懐かしさを覚える方も多いはずだ。

本著では、ドルイドの用いていた樹木を中心に、それぞれの象徴的な解釈と対応する肉体の部位やアロマの種類、石なども記されている。
純粋に知的好奇心を満たす読み物としても楽しめるし、スピリチュアルな霊性の息吹に触れるという瞑想的な読み方にも十二分に耐える。

また、自分の生まれた期間に対応する守護樹木の教訓が、非常に優れた示唆を与えてくれるので、占星術などが好きな方にもオススメできる。

結論として、この手の樹木のスピリチュアル解釈の本は現時点では数少ないので、「樹木」というキーワードに惹かれる方ならばぜひ一度目を通してもらいたい。新鮮な驚きがあるものと思う。