分かりやすいです
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イギリスにおける精神分析の祖とも言えるメラニークラインによって提唱された理論を簡潔ながらも体験に根ざした形で深く解説している入門書。クラインの理論は「分裂妄想ポジション」と「抑うつポジション」の二つが大きな二本柱となっており、そこから発展・生成した形で「投影同一視」や「分裂」などの防衛機制の理論的立脚が行われている。クラインによるとフロイトの言うエディプスコンプレックスを形成する以前から母親(養育者)を主とした対象関係を内的世界にイメージしそこから「良い乳房」と「悪い乳房」という対象を分裂した形で認知が始まるという。詳しくは本書の中身を読んでもらえると分かるが、児童分析の過程を通して理論化されたものであり、のちのウィニコット対象関係論や境界例人格障害を理解する上での礎石となっている。