内容は充実、しかし…
★★★★★
ニューカマーの子どもが通う学校でのフィールドワークをもとにした学校文化論。これまでの学校文化批判は、学校文化を静的なものとして捉えてしまっており、それがかえって学校文化を固定化しているというのが著者の主張の要点。学校文化というのは、教員・子ども、親による日々の相互行為によって再生産されているものなので、その過程の中に学校文化の変革の可能性となる要素をもっと積極的によみとるべきだ、よみとることができるはず、という。なるほど、という内容。しかし、「当事者」たる教員たち、学校文化に安住している教員たちのほとんどは、こうした研究に目を向けることはないだろう。著者はそこをどう考えているのだろうか。