従業員の働きやすさの上に成り立っている、「思いやり」のサービスか?
★★★☆☆
『日本でいちばん大切にしたい会社』を読後手にしたので、従業員を大切にすることで顧客満足度を上げる手法という、両書に共通した点について、本書では不足を感じた。
例えば、「他人を思いやることが、自分自身の喜びである」とのモチベーションを高める意識は、社員の自発的発露によって日々生み出されているのか?
“軍隊的”といわれるSQの社風によって、強要やそれに近い形でなされているのではないか?
との疑念を本書は払拭できなかった。
それは「社員へのインタビューは制限されています。」「部下のほうからリーダーの問題点を指摘するなど、“下に優しい制度”は導入されていません。」といった言葉や、著者がCA養成学校代表である事、機内に米系ではよく見る年配のCAをあまり見かけない事などからも、何か言えない秘密があるのではないかと更なる勘ぐりを発生させた。
自身が考えるのではなく、基本マニュアルに沿い(細かい点の改善は任されているが)、報告連絡相談を徹底させ、上司に提言できない風通しの悪さは、会社が従業員を信頼していないから、あえてそうさせないのかもしれぬ。
また「次々と古い機材をスクラップにして、その都度、最新鋭機を導入する」といった、著者の筆の滑りも、都合の悪い部分は出さず、良い点はオーバーに書くとの意図が透けて見え残念だった。
訂正しておくと、早めの機材交代には定評があるが、古い機材はスクラップではなく、売りに出している。
シンガポール航空がサービスを生み出す仕組み
★★★★★
「おもてなし」は、考えるのでなく、感じるものだとは思いつつ…
「おもてなし」について読んでみた。
一人のカリスマ創業者に頼らず、皆が支えあう仕組みとは?
答えとなる一つの姿が、本書にあります。
以下、気付きを得た・印象的だった内容を記します。
*従業員自身の心構え
・サービスに差をつけながらも、
「お客さまへの思いやり」で差をつけてはいけない
*従業員自身の能力開発・成長
・「自分たちのやるべきこと」を口にする。つねに、徹底して
・マニュアルを叩き込んだ上で、現場で臨機応変
*皆が支えあう仕組み
・従業員は多く配置する。「圧倒的に多い」
・一度は裏方も経験させる
苦情からの学び、人生転機のキッカケ
★★★☆☆
P118「私のサービスマインドを変えた一通の手紙」をまず読んでもらいたい。成功者の人生には転機となるキッカケが必ずといっていいほどある。著者にはこの瞬間だ。状況が手に取るように分かり読み手に伝わる。私は東京ディズニーランド、渋谷のディズニーストア、そしてフロリダのディズニーワールドで働いた経験があるが、そのキッカケは札幌のディズニーストアでの体験(キッカケ)だった。ディズニーストアには当時、ゲストより感謝のお手紙をもらうと報奨制度があった。お金ではなくジミニークリケットのピンバッチが貰えるのだ。私はそれ欲しさにゲストへ誠意をつくした。があまりにもピンバッチ欲しさのサービスになって悩んだこともある。ただその悩みもがゲストから初めての感謝の手紙をもらいピンバッチを手にした瞬間気がついた。私は間違っていたと。自分の報奨のためのサービスなんてありえない。「思いやり」からのサービス、なるほど!シンガポールエアラインに久しぶりに搭乗してみたくなった。
「思いやり」サービスを成功させる秘訣はサービスマインド
★★★★☆
突き抜けたサービス精神といえばディズニーランドやリッツ・カールトンホテルが有名ですが、本書で取りあげているシンガポール航空も、顧客満足度が常に上位の航空会社です。
学生時代にシンガポール航空に搭乗した著者は、一度は採用試験に落ちたものの、年齢制限ぎりぎりの25歳で採用試験に再チャレンジして入社。ますますこの会社にしびれてしまいました。
シンガポール航空の魅力を、著者は「思いやり」という言葉であらわしました。
そして、この「思いやり」というサービスの精神を、どのように会社が定め、従業員と共有し、徹底していくかについて、採用・教育・昇進のしくみも含めて、具体的に解説しています。
たとえば、シンガポール航空では、多の航空会社よりもお客様が客室乗務員の顔を見る回数が圧倒的に違っています。他社は機内食のメニューやヘッドセットをあらかじめ座席前のポケットに入れておきますが、シンガポール航空では客室乗務員が声かけしながら一人ひとりにお配りして歩きます。
標準的に作業しているだけで、お客様と接する機会が多くなるようにできていて、しかも様々なサービスマインド教育で、お客様に喜んでもらえる工夫をする。喜んでもらえた事例、反対にクレームやトラブルの事例をミーティングで共有する。等々。
具体的ノウハウもたくさん紹介されています。
しかし、「思いやり」サービスを成功させるのは、なんといっても社員のモチベーションです。シンガポール航空は昇進するまでが大変な会社ですが、ではこの会社で出世する人は、どういう人なのか?
著者は、次のように確信しています。
他人を思いやることが、自分自身の喜びである――と、
そういうマインドができ上がっている人です。
さすが、“軍隊的”といわれるシンガポール航空の社風で育った著者です。
優しいことばで、厳しいことをさらりと言いますね。
ぜひ知って欲しい
★★★★★
こういった類のサービス系の本は多く出ていますが、
この本にもサービスの秘訣が満載です。
空の旅という非日常の演出をするために、とにかく徹底してます!
よりハイクオリティなサービスを追求したい人にはヒントが得られると思います。
ここの教育はぜひ知って欲しいですね。