コレは傑作ですよ!
★★★★★
戦車好きには一度は見て頂きたい作品です。
特に劇中で歌われるパンツァーリートはぜひ歌えるようになって
自分のラジコンだかリモコンだかのドイツ戦車を操縦するときには
足拍子をしながら歌いたいもの(かな?)。
テレビ放映される度にタミヤの1/35リモコンタンクの売り上げが伸びた(嘘)という名作。役者が演技するのは当然ですがこの作品ではM47パットン戦車がキングタイガーを演じてくれます。それも名演技で!怒涛の大戦車軍団の迫力はプライベートライアンのティガーE型も顔色無し・・・主演のロバート・ショーもナバロンの嵐(大凡作)での彼を許してあげられる熱演です。
無意味に大作っぽいつくりもグッド。
史上最大の作戦、空軍大戦略、パットン大戦車軍団などと並んで戦争映画大作のお約束的作品です。
未見の方・・・楽しみが残っていて羨ましいなぁ。
娯楽作品としては良い出来です。
★★★★★
戦争映画にも様々なタイプがありますね。『西部戦線異状なし』などの社会的メッセージを含んだ深刻なものと『トラ!トラ!トラ!』などの娯楽性に重きをおいたものなどと大きく分けて二分できると思います。その両方を微妙に併せ持っていたのが『史上最大の作戦』ですね。この『バルジ大作戦』は『史上最大の作戦』のメイン監督をつとめたケン・アンナキン氏がピンで撮り上げた戦争巨編です。そして、これは間違いなく後者の娯楽性に重きを置いた戦争映画です。
ノルマンディ上陸作戦以降、連合軍は苦戦しながらも順調にベルギーまで進軍していた。ドイツ軍も往年の勢いをなくし、戦争終結は目と鼻の先と思われたが・・・・。
ドイツ軍の最後の巻き返しを歴史的事実を多少無視してエンターテイメント色を強くしたのが意外と功を奏していると思います。いきなりドイツ軍に攻撃を受けてうろたえるアメリカ軍。クリスマスソングを聴きながら身体をなまらせる一小隊や軍務そっちのけで密売にいそしむヤクザな軍曹などの描写がおもしろい。上層部も冷静なカイリー中佐ただ一人を除いて油断しているのですが・・・・。最後の賭けに出たドイツ軍の精鋭戦車部隊を戦争の権化のようなへスラー大佐が率いて腑抜けた連合軍を急襲するというのがフイルムの骨子。ここでアメリカ軍のそれまで強気だったグレイ少将やプリチャード大佐以下動揺しまくる様子もうまく描かれています。
ドイツ軍とアメリカ軍が同等の比重で描かれているのもこのフィルムの面白さ。特にへスラー大佐に扮したロバート・ショーが印象深い演技を見せます。冷徹な職業軍人の様子がうまく映画の中核をなしています。大佐の補佐であるコンラッド伍長に扮したハンス・クリスチャン・ブレヒも味のある好演。対するアメリカ軍は、落ち着いたカイリー中佐をヘンリー・フォンダ、たたぎあげの男気あるグレイ少将をロバート・ライアン、懐疑的だが忠実なプリチャード大佐をダナ・アンドリュース、ぶっきらぼうで頼れるウォレンスキー少佐をチャールズ・ブロンソン、愚連隊を率いるやくざなガフィ軍曹をテリー・サバラスがそれぞれ好演という豪華さ。特に、ライアン、ブロンソン、サバラスは儲け役ですね。一部の意見ではこの映画が戦闘だけに重きを置いて、あまりキャラクター造形に専念できていないのではないかとの指摘がありますが、自分はそうは感じませんでした。史実には忠実でなくとも、登場人物たちにはそれなりに命が吹き込まれていて、それぞれが重要な役割を果たしているのがいい。
アヴァンタイトルから、軍人と戦車が入り乱れる本編、そして盛り上がりのあるラストまでが実に端正にそつなく作られていて正直言って完成度は高い。たぶん、戦争映画にしては著しく娯楽的になりすぎてしまったという批判があるかもしれませんが、娯楽作品として考えれば60年代の大作戦争映画としては一二を争うフィルムです。そういえば、一部の酷評を尻目に『RADIOTIMES FILM GUIDE』では高評価を得ていましたね。それも納得。