アメリカでは、バーバーのこの曲が、葬送の時によくかけられるようになったのは、確かケネディ大統領が暗殺された時に、演奏されて以来だと聞いています。
バーバー自身はそんなつもりじゃなかったそうですが、霊を慰める追悼曲という雰囲気は全編に漂っています。弦楽だけでも悲壮感たっぷりですから、「アニュス・デイ」の歌詞のついた合唱を聞いていると、少し鳥肌が立ってきます。合唱で表現するなんて大変なことですね。
原曲の「弦楽のためのアダージョ」は、映画「プラトーン」の挿入歌として使用されました。「エレファントマン」にも使われていたそうです。悲愴感がありますから映画の情景とも良く合います。
約8分ほどの演奏です。ソプラノの最高音は、C♭で、ベースの最低音はDですので、相当広い音域を使用しています。音域もさることながら、ア・カペラでかつ、レガートで感情を秘めながらずっと緊張を保ち、高めていくというのは技術的にも困難ですね。このCDも緊張感溢れる演奏で、すばらしいと思って聴いています。
クラシックの基本を踏まえた上での、どれもすてきな「癒し系」の歌。
フリッパに、リベラ・・・その他、かなりおいしい歌手揃いです。
ぜひぜひ、聞いてみてください!