幸せであるための勇気
★★★☆☆
本書の中で、イスラエルの兵役を拒否した女性が「結局、自分自身に正直であることが一番ハッピーなんですよね。」「自分の良心に従うことが一番じゃないかしら」と語る。著者の江川さんは、さまざまな、とても自分には真似できないように見えることを勇気を持って行っている人たちを取材して、その人たちに共通の思いを引き出した。それがこの女性の言葉に集約されている。勇気を持って生きることは辛い目に合うことが多いけれど、そう生きられる人は幸せであるとも言えるだろう。でも、江川さんだって勇気を持って生きている人のように私には思えるのだけれど。
三つ星にしたのは、自分の読んできた本の中での相対評価であって、他の五つ星評価の人たちと特に読んだ印象はあまり違っていないかもしれない。
勇気を出して、自分に正直に生きること
★★★★★
生きていると、ときどき「あれっ これは間違っている」とか「ちょっと変」と感じることに出くわします。
しかし、私たちは、「世の中こんなもの」とか、「声をあげて指摘すると変人扱いされるのでは?」とか、「清濁併せ呑むという言葉もあるし・・・」とか思い、勇気を出せずに、なんとなくそのままにしてしまうことがあります。
この本は、野口健(登山家)、山本譲司(元衆議院議員。秘書給与流用の詐欺容疑で逮捕され、服役。その後、福祉施設で働いている)、蓮池透(北朝鮮による拉致された人の家族として運動)、仙波敏郎(愛媛県警の元警察官。裏金の証言を行い、警察のあり方に問題提起した)、高遠菜穂子(2004年、イラクの人々への支援活動中に、過激派に拉致された。解放後も苦しみながら支援活動を継続)の5氏のそれぞれの生き方を印象的につづっています。また、イスラエルで徴兵を拒否する人たちへの取材も行っています。
それぞれの話は、とても心に響くものであり、「私は、世の中を少しでも良くするような生き方をしているだろうか」、「自分に正直に生きているだろうか」と自問してしまう。
岩波ジュニア新書であり、若い人向けの本なのだろうが、私のように年配の人間が読んでも、考えさせられます。自らの生き方を振り返るためにとても有益な本だと思います。
勇気をもらった
★★★★★
一人ひとりのドラマをとても丁寧に描き出しています。これを読んで、普通の人でも勇気ある行動がとれることを知り、自分の中にも勇気が湧いてきました。
勇気を与えてくれる
★★★★★
江川紹子著の「勇気ってなんだろう」です。岩波ジュニア新書から出ていますので、若い中高生向けに書かれているのでしょうが、40男が読んでも感動を与えてくれました。
勇気を出すのは大変です。周りに流されているほうが楽です。このことは老若男女問わず経験的に理解していることでしょう。でも本書に描かれている人々は勇気を出して、自分の信念や拠り所を明確にして、世間に立ち向かっているのです。その姿は年に関係なく感動を覚えます。
人間はいつか死にます。それだけは平等に出来ています。ですから、自分の信念に忠実に動くことが大事であるとこの年になってやっと明確に理解できました。ですから本書のような、社会に対峙しなくても、自分の周りでほんの小さなことから、自分を拠り所にして行動していったらどうでしょうか。きっとあなたの周りは変わっていくはずです。それが「勇気」なんだと思います。
こんなことを気づかせてくれた書でありました。
一人一人の人間が持っているはずの力
★★★★★
11の物語で構成されている本書はこの国の持つ“国民性”が持つ問題点のあぶり出しでもある。
以前“赤信号、みんなで渡れば怖くない”とのブラックジョークがあったが、図らずもこの言葉が語っているのはこの国の国民性の一側面でもあった。自らが確かめたでもなく安直に人の意見にタダ乗りする姿勢は確かに“楽”でもあり“安全”でもある。けれどそれは同時に自らの眼で物事の是非や本質を見極めることを放棄することにもつながる。
印象に残ったのはイラクでボランティア活動をしていたものの不幸にして人質となった女性の言葉だった、“私は命にこだわる”として再び彼の地に赴き復興支援活動に携わる。彼女はイラクの人々のために働くのであり、それは決して売名行為などではない。“相手がよろこんでくれればそれでいい”との素朴な思いには唯々敬服する以外はない。
“社会的不正を許さないこと”“正直に生きること”、今の時代にあって“本当の勇気”の意味、そしてそれを持つことの困難さが浮き彫りになっている。
著者は元々“ジャーナリスト”であり、記憶の限りでは“住宅地への米軍機墜落事故”の第一報を伝えた記者でもある。