あらゆる年齢の方におすすめの本です
★★★★★
本書は世界で平和をつくることに貢献した20人の人物を紹介している。
この本について私が一番好きな点は、この本が実に多様な声を拾っていることだ。欧米、アジア、中米、南米、アフリカ出身の様々な活動をした男性や女性が取り上げられていて、平和に貢献するのにいろいろな方法があることがわかる。
「非暴力を選ぶ」「平和を生きる」「多様性を大切にする」「あらゆる命を重んじる」「地球環境を大切にする」の5つのセクションでそれぞれ4人ずつ人物が紹介されるが、私は「あらゆる命を重んじる」と「地球環境を大切にする」のセクションに特に興味をもった。少し前までは、平和といえばもっぱら人間のことばかりが語られたと思うが、人間以外の生命や生態系も含めた平和な世界という考え方がとてもよいと思う。「あらゆる生命を重んじる」では、物語を描くことで子供や動物といった弱者の声を代弁した児童文学作家のアストリッド・リンドグレーン、アフリカでチンパンジーの研究をし、野生動物保護の活動に向かったジェーン・グドールなどが紹介され、「地球環境を大切にする」では、大御所のレイチェル・カーソンのほか、環境に配慮した建築を追及したイラン系アメリカ人建築家ネーダー・ハリーリも紹介される。
この本を最後まで読んで、ここで紹介されている20人のエネルギーとパワーに感動した。若者に読んでほしい本だが、大人が読んで、活力をもらえる本でもあると思う。
20人の1人、アンデルソン・サーの音楽を通した役割を詩の形式でまとめました。
★★★★★
彼の名は
アンデルソン・サー
銃声を音楽に変えた男
暴力溢れるファベーラで生まれ育つ
そこはブラジル・リオデジャネイロの貧民街
目の前で人が殴り倒され、銃で撃ち殺される
彼はそんなことにもなれっこだった
殺しあいのラセン
弟も巻き込まれ、失ってしまう
どうしたら暴力をなくせるだろうか
心には虐殺への悲しみと怒りが溢れている
自分自身麻薬取引に幼い時から関わっている
どうしたら、どうしたら抜け出せる
苦しみの中、浮かんでくるひとつの答え
音楽
ドラムのリズムがファベーラに少しずつひびきわたる
平和を求める心は
レゲェ、ヒップホップ、ファンク、ラップ、サンバのリズムを融合し
アフロレゲエという新たな力を生みだした
魂の拍動は力強く
暴力はいらないと叫ぶ
小さな光が少しずつ大きく輝いていく
街は新たな胎動を始め
子供や人々の能力を次々と華開かせる
彼らの音楽という希望は海を渡り世界へ
かつての銃声は遠く
アフロレゲエのリズムが心を満たしていく