幸代は20代後半の独身女性であり、学生時代から三人の仲間でサークルを作ってきた。
一人結婚し、また一人……となると、どうしても心穏かではいられない。
結婚しても趣味は続けられるか。結婚しても友達は続いていくか。
その前に、自分はこのままでいいのだろうか。つきあう相手は、この人出いいのだろうか。
そんな人生の悩みと同時に、幸代の職場で謎解きを待つ問題がゆっくりと持ち上がってくるのである。
なぜか、職場で同人誌を作ろう！という大問題と共に。

楽しく読める。幸代やその上司の同人誌の原稿もところどころ差し込まれており、そっちの展開も気になっちゃう。
腐女子であっても、左遷された社員であっても、幸せになってもいいわけで。人によって幸せも違うのだし。
男性陣も個性的であるが、女性達にも様々な人生があり、幸せの多様性をひそかに考えさせられる。
全般的には、さっくりと気軽に読める一冊。

特にあらすじなども知らずに読み始めたのですが、大変
面白かったです。こういう面白くなさそうな話の筋を、
ここまで面白く書けるのはすごいことだと思いました。
本当に。

矢田さんやみっこちゃんなどのキャラクターが魅力的。
こまごました描写に思わず笑ってしまい、幸せな気持ち
になれました。読み終わってからぱらぱら読み返してみ
てもやっぱり面白い。
私も同人誌を作ってみたくなりました。

三浦しをんらしさは出ていますが、恋愛についても、仕事についてもグッとくるような場面はナシ。少女マンガ風のライトコメディという感じでしょうか。三浦しをんが好きなら読んでみれば良いと思います。

すらすら読めて面白かったですよ。
ドラマに出てきそうな同僚たちと上司のキャラも浮いてなくて。
会社成り立ちの背後に隠れた、裏世界の証拠を掻き集める、といったお話。
これだけ言うと絶対興味の引かれる小説ではないですけれど、そこはそこ、三浦しをん節がここぞとばかりに鳴りっ放しでした。

三浦女史の趣味がダダ漏れ状態で、同人誌の中身が劇中歌のごとく入ってます。ウマイ具合に。（本編よりこっちの続きやら途中やらが気になってます）
ドラマ「ショムニ」を思わせる上司や社内左遷先の社史編纂室でしたが、ダメ人間そうに見せかけてデキル仕事人というトコロが面白かった一因です。
人との繋がりをきちんと描く作家さんだと思いました、改めて。
実写化もしくはドラマＣＤでもう一度読みたい作品です。
本間課長は八嶋智人、ちっさい人だから（笑）
「星花」の女将には、鈴木京香ちゃん。
ヒロイン川田幸代は、市川実日子。みっこには貫地谷しほりで。

『まほろ駅前〜』が面白かったので手に取った一冊。
全編を流れる、ある種のだらしなさは共通しているが
舞台が閑職とはいえ一応会社であること、
趣味とはいえ一心に腐女子を営んでいることから
どうも精神的に中途半端な印象は否めない。

また会社の謎を追う際の脅迫も、南島のファンタジーも
不真面目なんだか真剣なんだか良く判らず
物語を引っ張る動機もなんか中途半端なのでした。

さくさく読めて、不愉快ということは全くないのですが。