使いやすいテスト
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ベックのHTPは家・木・人をそれぞれ別の用紙に描いていくのだが、このS−HTPは一枚の用紙に家・木・人すべてを書き込んでいく描画テストである。そのため以前からの解釈仮説をそのまま当てはめての解釈はできないので、基礎的研究と著者の臨床経験からこの描画テストの妥当性を見ていくことを、この著書では目的としている。
S−HTPの評価法としては細部よりも全体的なところを中心に見ていくことが重要とされ、統合性や安定性といった項目が必要となっている。もちろんその他の各パーツごとの分析もすることはできる。
統計的な手法と事例研究的な手法でS−HTPをまとめていっているが、かなり説得力のある考察と各描画の独自性を臨床像との比較から論じているところは、かなり高度でいて分かりやすくもある。