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ロボット化する子どもたち―「学び」の認知科学 (認知科学のフロンティア)

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 大修館書店
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学びの行き詰まった時代に ★★★★★
 高度情報化社会を迎えた今、あるべき「学び」の形はどのようなものか。
認知科学を専門とする著者がそれまでの研究を、20世紀の学びを振り返り、これからの学びの形を提言している。

 本書ではまず、20世紀の学びについて振り返り、高度情報化社会での学び、日本の伝統的な学び、自閉症児の学びについて検討している。
 結論から言えば、教え込み型の学習モデルは時代遅れになってきているということだ。著者が専門とするロボットの分野でのフレーム問題のように、どこまで知識を詰め込んでも想定外の事態が発生すれば全く対応できなくなる。現代の洪水のような知識も人間の頭脳に収納するには膨大すぎる。知識をため込むより、どのような状況にも対応できるように知識の使い方を教えることが有効という点では高度情報化社会も日本の伝統的な学びも自閉症児の学びも共通した側面がある。

 自閉症児の学びも興味深く読めた。確かに自閉症児にはコンピュータのような印象を受けることがある。プログラム通りには動くが、プログラム外のことにはフリーズしたりバグを起こしたりする。学びの量が質に転換するには膨大な量かそれなりの手助けが必要になる。実際に現在では手順をたくさん教え込むという教育手法は手遅れになり、環境の中で生きていく力をつけるという方向性が有力になってきている。日本の伝統的な学びのように経験から学ばせることが最終的には近道なることが多いように思う。

 著者の提言するようなしみこみ型の学びは自閉症児だけでなく、教育全般において有益な部分を持っているというのが私の感想である。これだけ変化の激しい時代では環境の中から水から学んでいく力をつけることこそが一生涯に及ぶ教育の重要な課題であろう。
本書の「おわりに」より引用します。 ★★★★★
高度情報化時代の今日、多くの人たちがコミュニケーション障害に陥り、大きなストレスを抱えている。日々の報道は悲惨な事件を伝え続け、特に犯罪の低年齢化が目に付く。盛んに教育改革が叫ばれているが、現在の日本社会を考えれば焼け石に水の感も否めない。
 こんな危惧の証拠は、夕方から夜にかけてちょっと街を歩けばいくらでも目にすることができる。ダンボールにくるまるホームレスの脇で、ベタ座りしている若者達。中にはコンビニのカップラーメンで夕食を済ませるものもいる。しかも、食べ終わった彼らは、スープが残っている器を道ばたに置いたままその場を立ち去る。周りには、スープの空袋や割り箸が散乱している。
・・・中略・・・
 このことは、ロボット工学も証明している。1970年代まで「ロボットにさせたいことを、簡単なことから複雑なことへ系統的にひとつひとつプログラムする」という基本方針を持っていたロボット研究者が、「それでは人間に近づかない」と考え出したことを知ったとき、私は目の前が開ける思いがした。それは、1980年代に起こったロボット開発の「行き詰まり」が原因であり、そのあと彼らはパラダイムシフトを経験する。
 ロボット開発と全く同じような行き詰まりが、現在、子どもや若者の教育において起こっている。本書ではこの原因を、これまでの教育や「学び」の大原則、つまり「正しい知識を簡単なものから複雑なものへ、ひとつひとつ系統的に積み重ねてゆけば効果的な学習ができる」という基本的な考え方が間違っていたということに帰して検討してきた。
 そろそろ教育や「学び」に関して、少し本質的なところから検討し直す時期に来ているのかも知れない。これまでの常識を一旦白紙に戻した上で、あらためて21世紀の高度情報化時代における教育や「学び」を考えなげばならない時期に来ているのだろう。
『鉄腕アトムと晋平君』シリーズの完結編 ★★★★☆
自閉症児教育とロボット開発に共通のフレーム問題があることを指摘し、研究者内外に大きな波紋を呼んだ『鉄腕アトムと晋平君』の著者、渡部信一(東北大学教授)の最新刊。「晋平君三部作」の完結編となる。

訓練型教育の行き詰まりを一貫して警告してきた著者が、本書では一歩進んで、解決の処方箋を示そうとしている。しかも、アナログの典型ともいうべき日本の「職人教育」からヒントを得ているという点で、きわめてユニークな教育論である。

訓練からしみこみ型教育へ−教育のパラダイムシフトは起こるだろうか。という本書のテーマとは別に、最先端のデジタル教育学、脳科学、ロボット開発に精通している著者が、なぜ、アナログというややこしい世界に足を踏み込んだのか。その心境の変化?を知るだけでも、本書一読の価値はあるだろう。
「鉄腕アトムと晋平君」の方が良かったかな ★★☆☆☆
 正直、期待外れだった本です。

 著者は教育学博士をとっている方ですが、(個人的には)
冒頭の部分での現在のこどもや学生に対する偏見やステレオ
タイプな記述がかなり気に掛かってしまい、読む気を消失し
ました。(私は現役の大学生ですが、著者にもう少し今の社
会の現実を見てから書いてほしいと思いました。)

 自閉症の子どもに対する教育とロボット開発を見ながら、
現在の教育を考え直していこうという著者の考えは理解でき
るのですが、もう少し客観的にその必要性を説けなかったの
か、というところでマイナス1=この評価です。
 
 専門分野にかけてはそれなりですが、文章の重複がとても
多く、読みづらかったし、以前の著書である「鉄腕アトムと
晋平君」とほとんど内容が同じ部分が見受けられました。こ
ちらの本には教育の歴史のようなことや、今後のあるべき教
育などについての著者の考えなどがかいてありますが、いず
れもそこまで詰めたことは書かれてないので、「鉄腕アトム
〜」を読んだ方は、こちらは読まなくても差し障りはないと思
います。