猫がたくさん出てきます
★★☆☆☆
うーん、猫好きならいいんでしょうけど、猫苦手なんです。あまりに出てくるので、困りました。可愛いと思えない人にとっては、苦痛そのものです。英国って、猫そんなにいましたっけ。この作家さんは初めて読みましたが、猫好きなんでしょうね。ストーリーそのものは、ほんわかして好きなんですけど。
上品でかわいい
★★★★☆
主に、19世紀末のイギリスを舞台にした
不思議でロマンティックな短編集。
箱入りのお嬢さまが思い悩むのを保護者たちが
心配する「姫の恋わずらい」、
記憶喪失になった女性の困惑を描いた「薔薇色のゆううつ」、
見知らぬ不思議な少女に
思い出すように言われる劇作家の「闇色の宝石」、
裕福な夫人の遺産を相続した猫と不思議な少女と
青年のお話「灰色の貴婦人」、
たくさんの占い師にダメだしされた少女の恋「乙女の祈り」、
日本の異国ぶりを楽しむ異人さんのお話「異国にて」、
屋敷を売ろうとした青年を怒る不思議な子どものお話「遠い国から」
の7作です。
薔薇色、闇色、灰色の3作はメロディに掲載されたもの。
「異国にて」「遠い国から」はちょっと「雨柳堂夢咄」を
思わせるお話です。
上品でかわいらしいお話ばかりで、ゆったり楽しみたい本。
猫がたくさん登場しています。
日本でのヘンリー大叔父様に感激
★★★★★
レビューを見て買いに走った(笑)。「異国にて」のヘンリー・アディントンて、あの大叔父様?「月の出をまって」の最後に地味に載っている「昼さがりの幻影」の?そうでした。いろいろ人に見えないものが見えるために「ちょっと変わった子」扱いされていた小さなクラリッサの唯一の理解者だったヘンリーの、日本へ行っていたときのお話。ほかの作品ももちろん雰囲気があっていいのだけれど、こういう小さなつながりを見つけたときは、妙に嬉しい。
レビューを書いてくださった方、どうもありがとうございました。
ふわりと優しく、ロマンティックな話の風合いが素敵な短篇集
★★★★☆
1999年〜2008年掲載のものまで、新旧取り混ぜた短篇が七つ。
十九世紀末の英国。名家のお嬢さまの悩み事が一騒動を巻き起こす表題作をはじめ、猫や幽霊が活躍する話の数々。「姫の恋わずらい」「薔薇色のゆううつ」「闇色(やみいろ)の宝石」「灰色の貴婦人(レディ)」「乙女の祈り」「異国にて」「遠い国から」の諸篇を収めた一冊。
上品でシックな登場人物の絵姿と、英国の午後のお茶の香りがするミステリアスな話の雰囲気。作者の作品でお気に入りの【うるわしの英国】シリーズに通じる、ふわりと優しく、ロマンティックな風韻が話のそこここに感じられて、ひととき、心地よい時間を過ごすことができました。
なかでも、おしまいの二篇がよかったな。明治の日本を訪れた英国人の不思議な体験談「異国にて」と、4代続いた先祖の館を売り払うべくやって来た青年ウィリアムが奇妙な目に遭う「遠い国から」。
とりわけ、「異国にて」の話の中、皿の絵の魔法を描いた見開き二頁が素敵だったなあ。主人公のサー・ヘンリー・アディントン同様、「おおっ!」と、目を奪われました。
本書の帯に記してあった作者の新シリーズ【女神さまと私】も楽しみですね。<古代史マニアに囲まれながら、現実的で堅実なイーディスが、心ならずも古代エジプトの世界に引き込まれていき・・・!?>の予告文に、アガサ・クリスティの中近東ミステリと、ポール・ギャリコの『ジェニィ』『トマシーナ』をブレンドしたみたいな話(どんな話や!)なのかしらんと、興味をそそられましたです。『月刊flowers 9月号』掲載予定の波津さんの「天空の近くに」。待ち遠しいっすね。
(追記)・・・・・・久しぶりに『月の出をまって』の中の「昼さがりの幻影(かげ)」を再読しました。そっかー、こちらの話にも、サー・ヘンリー・アディントンが出ていたのですねぇ。登場人物をつなぐこういう趣向は、いいなあ。私も嬉しくなりました。