現代の食生活とは違う部分もありますが、当時にしてはアメリカやフランスの生活を経験した著者の「ハイカラ」な(決して高級趣味ではなく)食のセンスが今でも楽しく読めます。高いものとか流行り物ではなく、自分の好きな食べ物を、自分に合ったスタイルでエンジョイする著者のセンスとゆとりがすてきです。
グルメエッセイにも色々あり、読んでいておなかがすくものと、理知的に「ふーん」と思いながら読むものとありますが、私にとっては、この本は前者。
簡単でおいしくできる料理のレシピもおいしそうだし、料理を通して語られるいろんな思い出も、しんみりしたり、笑ったり、まさに食べ物の中に人生がつまって!います。
後半のシャンソン、そしてそのアーティストたちとの交流も興味深いです。中でもジョセフィン・ベイカーの章は強い感動を覚えるでしょう。