最新学術成果をもりこみ、帯には「21世紀をリードする待望の図鑑」と豪語するきのこ図鑑。

掲載種数700種、きれいな写真、簡潔で要点をおさえた記述は、硬派ながら使いやすく、中級者以上も満足させる出来栄え。これまで山と渓谷社の「カラー名鑑　日本のきのこ」と保育社「原色日本新菌類図鑑」ばかりが目立っていたが、前者のビジュアル性と後者の実用性をうまく折衷させた図鑑だと思う。

携帯もぎりぎり可能な大きさで、すばやく種類を調べられるように工夫してあるのもよい。特に各キノコに特徴の箇条書きがついているのはありがたい。野外で使うのならおそらく最強の図鑑だろう。

食味などのソフト面の記述はすくなく、初心者にはとっつきにくいかな、という点と、冬虫夏草や粘菌のたぐいはほとんど載っていないという点は気になるが、まあ仕方ない。質実剛健、いい図鑑だ。