数学的考え方
★★★★★
数学的考え方を面白くまとめた良書で広く読んでもらいたい本です。本書で取り上げられた、牛乳パックを直方体と見なすと体積は955.5立方センチという話題は、既に2002年に数研出版から出版の[ふしぎな数のおはなし]にもありましたが、その著者は物差しで測って出したそうです。数学者が測ると同じ数値になる点も、大変面白く感じました。
論理的に考えるクセを身につけたい、という中高生にオススメ。
★★★★☆
中高生を対象とした数学入門。「毎日中学生新聞」に連載された記事を1冊にまとめ加筆修正したもの。同じ著者による『生き抜くための数学入門』(新井紀子 2007年 理論社)と同じテイストの本。
中学生3人組と数学の先生との対話形式で話が展開するスタイルも『生き抜くための数学入門』と同じ。ただ、元が新聞連載だからか、ハジケ具合はおとなしめ。取り上げられている数学的概念は、有理数・無理数、関数とグラフ、確率論、論理的飛躍への敏感さ。
「数学は論理的思考能力を育てるためのトレーニングだ」というスタンスを明確に取っている点に、この著者の特異性がある。本書では、そのスタンスが一層先鋭化している。『こんどこそ! わかる数学』というタイトルになっているが、数学的概念そのものではなく、数学的に考える(論理的に考える)コツを教える内容になっている。例えば、前半1/3を費やしている有理数と無理数の話では、「有理数(無理数)とは何か」よりも、「有理数(無理数)とは何か」という問題について考える際に、何から始めてどのように考えていけばよいのか、その道筋やとるべき態度を示すことに主眼が置かれている。数学的概念の定義や公式を丸暗記したってしょうがない。それが何についてであれ、自分で一から考える力をもつ、ということが大事なのだ。
薄い本で、扱われているトピックも多くないが、厳選されたトピックを題材に論理的思考のコツが示されている。論理的に考えるクセを身につけたい、という中高生にオススメ。
正論です
★★★★☆
これで、新井先生の本は三冊読ませてもらいました。どれも正論なのですが、どれほど現場(特に中学の先生)が賛成してくれるでしょうか?
今、子供の数学を見ますと、カリキュラムに追いつこうとする先生方の必死の姿が眼に浮かびます。新井先生の言われるように、数学は手順を考えるものでしょうが、現場では「計算」の技術を教えるので手一杯ではないでしょうか?その点、この本では答えが見出せなかったので、星一つ減らしました(しかし答えはどこにあるのでしょうか?:()。