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イギリスとヨーロッパ―孤立と統合の二百年

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 勁草書房
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苦悩と迷走のイギリス外交 ★★★★★
 疑いもなく本書は、イギリス外交を論じた書籍の中で極めて価値のあるものである。第一線で活躍する研究者たちが、イギリスの外交史料等々を駆使して描いた本書は、イギリスとヨーロッパの関係を知る上で最適なものである。

 そもそもイギリス外交の特徴とは、彼らの歴史的発展が生み出した所産である。

 近代以降イギリスは、帝国(コモンウェルス)の一部であり、ヨーロッパの一部でもあり、そしてアメリカとの特別な関係を築いてきた。こうした3つの地域に係るイギリス外交は、研究者たちにとって魅力的な研究課題である。しかし同時に、イギリス外交の実践者たちにとってそれは、彼らのジレンマを如実に示すものである。

 本書によって描かれた対ヨーロッパ外交もまた、そのジレンマを避けて通ることはできない。イギリスは「ヨーロッパの一部」でありながら「ヨーロッパと共にある(=外部)」存在だった。それは、イギリス自身の選択でもあった。ヒースもイーデンもサッチャーも、そしてブレアですら、時には自国の立場を強化するためにヨーロッパを「利用」しようとした(例えば対米交渉等)。国際的な力を失ったイギリスは、まるでかつての超大国であるかのように自らを振舞おうとした。こうした立場の曖昧さはいつだってイギリスを苦悩させる結果になる。

 この研究書は、ある意味イギリスの苦悩と迷走そして悲劇を描いた文学作品であるのかもしれない。著者たちの記述は、そう思わせる程に悲劇を感じさせ、そう思わせる程に読ませるものだったからである。

 ともわれ「イギリスにとってのヨーロッパ」だけでなく、「イギリスから観た」ヨーロッパを知る上で、本書は是非手に取っておきたいものだといえるだろう。