メンバーのヴォーカリストとしての質の高さに改めて感心しました
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ゴスペラーズのデビュー15周年を記念してのアルバムです。
ア・カペラという言葉を一般の視聴者に定着させた功績は大きく、彼らの登場以降、ハモネプなどのアマチュアのア・カペラのサークルがテレビに登場するようになりました。ア・カペラのすそ野を拡げた功労は大です。このアルバムでは様々な伴奏がついていますが、演奏の基本構成は完璧なハーモニーの構築にあるわけですから。
彼らの一番の特徴は皆がリード・ヴォーカルをとれる事です。従来のヴォーカル・グループは各人のパート分けが決まっており固定していました。
彼らは全員メロディを歌うことが出来るという歌唱力の高さがまず差別化につながっています。また一人ひとりの声に特徴があり、普通はハモリに影響するそれらの個性が、かえってその集合体の際立った個性へとつながっているわけです。彼らの息の長い人気もそのリード・ヴォーカルを曲ごとに変えるという多様性と彼らの作詞・作曲・編曲能力の高さのたまものでしょう。
このCDは、彼らが残した数多のアルバムから16曲を選んでいます。「ひとり」「永遠に」のようにヒットした曲からあまり馴染みのないものまで集めてあり、オリジナル・アルバムの統一性とはまた別の彼らの特徴といったものを浮き彫りにするものです。どの曲もハーモニーが崩れる、といったことは全くなく、リード・ヴォーカルの傷も見当たりません。安心して聴きながら、彼らの歌唱力の高さに様々なジャンルの音楽愛好家が惹きこまれていったことでしょう。